記者説明会には、トークノート 代表取締役 小池 温男氏と社外取締役の森川 亮氏が登壇した。
初めに小池氏は社内SNS市場の「2012年実績で16億円だった市場が、2017年には2倍以上、44億円にまで拡大する(シード・プランニング調査)」という活況を説明。同調査でトークノートはマイクロソフトのYammerやセールスフォースのChatterを抑え、シェアNo.1を獲得しており、現在も非IT企業を含め順調に導入企業を伸ばしているという。
ただ、直近で言えば、エンジニアが8割~9割を占める企業での導入例が多い「Slack」や、大規模なIT企業での採用が進むChatwork、WowTalkなど、競争が激化している。特に、LINE系のWorks Mobileは"ほぼLINE"と言える存在で、社員への教育を行う必要性がほぼ皆無。トークノートとしても先行者としてのポジションを固めつつ、迎え撃たねばならない状況にある。
そこで「スタンプ」という存在が出てくるわけだが、2015年の春頃まで「スタンプは必要ない」と代表取締役の小池氏は考えていたという。スタンプは柔和な表現ができるため、企業のビジネス現場には向かないという判断あってのことだった。
しかし、2015年4月に社外取締役へ就任した元LINE 森川氏が、事あるごとに「(スタンプを)やったほうがいい」と力説してきたのだという。森川氏はその理由について、将来的に市場へ参入する外資系への対抗を口にする。
「この領域は、ほかの分野と同様にGoogleなどの外資系が必ず入ってくる。そうしたサービスに対抗する時、情報共有の手段としてシンプルさばかりが強調された製品が多いと思う。日本の製品でも欧米を見習って考えがちだが、今の日本の若い人たちは、コミュニケーションにもはやスタンプしか使わない、という層もいる。私たちは、今求められているものを形にすることが必要だ」(森川氏)
実際に小池氏も、そうした森川氏の説明に応じ、スタンプの提供を決断した。
「例えば仕事でミスした時、上司からメールのテキストで注意されたら『自分はダメなんじゃないか』と思ってしまう。でも、対面した時に笑いながら『気をつけて』と言われるのと同じように、笑っているようなスタンプであれば、部下も次から頑張れば大丈夫だと、しっかりと意図が伝えられるはず」(小池氏)
また今後、「トークノートが社内SNS市場で生き残るためには何をすべきか」という議題に、小池氏と森川氏は、過去のビジネスの変遷を交えて次のように語った。
「オフィス・アプリケーションが出てきてから、ビジネスが変わった。表計算とワード、パワーポイントという存在です。パワーポイントは、ワードで打つよりもすごそうだし(笑)。そうしたパラダイムシフトが再び起こったのが、世界的に広がりつつある"コミュニケーション・インタフェース"でしょう。何もかもがチャットベースになると言われ、ECや情報収集など、すでにチャットベースになっている。ビジネスでも、チャットツールだけで契約が取れたり、プレゼンテーションができたり、出張予約までできたりと、すべてを完結できたらいいんじゃないかと考えている」(森川氏)
「1995年にYahoo! JAPANが誕生してから、長らく検索ポータルの時代が続いていた。ただ、アプリベースの時代は、それだけでなく、楽天やAmazon、食べログ、じゃらんなど、専門サイト(アプリ)を利用して、自分の目的を達成することが多い。シリコンバレーの話で言えば、向こうでチャットツールを考えている人たちは、顧客に特化したものを作っていたりして、予約をすべてそこで完結できるといった作りこみをやっている。自分たちも、よりチャットに適したコミュニケーションの深化を支援していきたい」(小池氏)