派遣スタッフの在宅勤務

日本マイクロソフト コーポレートコミュニケーション部 部長 岡部一志氏

まず派遣スタッフの在宅勤務は、パソナの「テレワーク労務管理ツール with Skype for Business」を用いて、全社の約1割の派遣スタッフが在宅勤務のトライアルを行うというもの。派遣スタッフがテレワーク週間に参加するのは、今回が初の試みとなる。

実施後に行ったアンケートによると、参加者の92%が「時間の有効活用になる」、56%が「業務効率向上の効果あり」と回答。管理者を含めて8割以上が「今後も利用したい」と答えたそうだ。

「実施に際しては、社内向けの端末しか持っていない派遣スタッフもいましたので、新たにテレワークで利用可能な端末を支給するといった環境面の整備も行いました」と岡部氏。さらに「在宅勤務においては、"出社しているのと同様の業務をこなせる状態"が創り出すことが必須です。さらに業務効率を向上できれば100点満点ですね。そこに、通勤がないため時間を有効活用できる、といった効果がプラスされます」と続けた。

カスタマーサポート部門のテレワークトライアル

カスタマーサポート部門のテレワークトライアルは、カスタマーサポート部門の1グループ11名が岐阜県飛騨市の古民家で、寝食をともにしながら業務に携わるというもの。同社内では約7割がフリーアドレス制を採用しているが、製品開発チームとお客さまサポートの2部門については特殊な環境を要することから、固定席での業務が基本となっている。そうした中で、今回のトライアルに参加したのは「Office 365/Exchange/Skype for Business」などのサポートを行っているチームだ。これらはいずれもテレワークに必須のツールであり、サポートを行う自分たちがテレワーク経験を持つ必要がある、という観点で挑戦することとなった。ただし、チームとして同じ空間を共有する必要があるため、個別に在宅勤務を行うのは難しい。そこで考え出されたのが、古民家を使った合宿タイプのテレワークトライアルである。今回はトライアル場所の選定から機材の搬入まで、スタッフたちが自ら積極的に動いて実現したそうだ。

実施後のアンケートでは、通常のオフィスでの業務と比べて、62%が「効率化の向上」を感じた、38%は「通常のオフィスと同じ効率で業務ができた」と回答。また、フレキシブルな働き方の実践により地元住民と交流ができるなど、カスタマーサポート部門の新しい可能性を見いだせたという。

岡部氏は「テレワークとして成功を収めただけでなく、今後の業務をより効率化するためにはどのような環境作りが必要かを理解できたり、チームワークの重要性が再確認できたりと、目に見えない副次的な学びの効果も得られたようです」と語る。

北海道別海町での滞在型テレワーク検証

北海道別海町での滞在型テレワーク検証は、総務省「ふるさとテレワーク推進のための地域実証事業」の委託先候補として選出された、日本マイクロソフトが行っている「地方創生テレワークプロジェクト」の一環として実施したもの。テレワーク週間中に開催した第1期から10月末まで4期に渡り、社員19名、家族を含めると合計55名が参加した。滞在場所は、旧光進小中学校跡地を有効活用し、2015年8月24日にオープンした「別海町テレワークセンター」だ。

検証の結果について岡部氏は「参加者からは、社内と同様に業務がこなせたことに加えて、リフレッシュできたり、周囲の雑音がないため仕事に集中できるなど、メンタル面のプラス効果が大きかったという声が聞かれました」と語る。

施設の隣には広大な牧場が広がっており、休憩時間に牧場を眺めてリフレッシュするなど、普段都心で仕事をしている社員にとっては大きな癒やし効果となったようだ。また、単身で移動する出張と違い、業務時間が終わったら家族と一緒に過ごせるのもポイントのひとつ。社員が働いている間、家族は別海町で観光などを楽しむことができる。参加者からは「滞在型のテレワークで、朝、昼休み、夕方と自然に囲まれながら家族と過ごせ、有意義な滞在だった」とワークライフバランス向上にも役立ったと、満足の声が多数聞かれたという。

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こうして「テレワーク週間 2015」は大きな成果を残したが、同社では今後もテレワーク週間を通じてさまざまな取り組みを実施していく予定だ。賛同法人の拡大はもちろん、未経験分野へのチャレンジも積極的に行うという。

「テレワークの推進は、業務効率の向上や競争力強化など、企業にとって大きなプラスになります。そこで弊社では日本のビジネス環境を変えるだけでなく、自分たちの働き方をより変革させ、生産性の向上や事業の拡大をする、そしてツールをより多くの企業に使っていただくという、事業の柱としても捉えています」と岡部氏。

「テレワーク週間 2016」ではどのような新しい取り組みが行われるのか楽しみだ。