ヤフーは11月26日、今年のトピックや来年の事業方針に関する説明会をプレス向けに開催した。この中で同社 宮坂社長は、2016年はスマホアプリやログイン機能に注力する意向を示した。

ヤフー 代表取締役社長 宮坂学氏

代表取締役社長の宮坂学氏は挨拶の冒頭で、「ヤフーは来年4月に20周年を迎えるが、世の中にたくさんあるインターネットの会社の中で、20世紀に始まって、今も生き残っている会社は少ない。さらに、その中でも成長し続けている会社はもっと少ない。今後は私のいるうちに経営体制を盤石にし、組織の力を高め、3世紀にまたがって仕事ができるインターネットの会社の基礎固めをやっていきたい思う」と、今後は長期ビジョンに立って経営を行う意思を表明した。

同氏は今年のヤフーについて、「会社は変化しないと生き残っていけない。今年の変化は、スマホでもYahoo!という変化を起こした点だ。パソコンは初めてマイノリティ端末になった」、と今後は利用の中心がスマホなどのモバイルが中心になるという認識を示し、「これまでYahoo!といえば、検索、ニュース、天気予報だったが、今年は『お買い物でもYahoo!』というきっかけを作ることができ、『決済でもYahoo!』という変化を起こすこともできた」と語った。

ヤフー 執行役員 ショッピングカンパニー長 小澤隆生氏

そして、同氏は来年に向けて、「アプリでもYahoo!ということをやっていきたい。さきほど、スマホでもYahoo!といったが、まだブラウザを利用しているケースが多い。どうせ使ってもらえるのであれば、アプリでもYahoo!ということにしていきたい。また、ログインでもYahoo!ということもやっていく。Yahoo!はログインをしなくても使えるが、お客様がいろいろなデバイスを使う中で、お客様のことをもっと理解したいと思っている」と、利用履歴をより詳細に把握することで、自社のサービスにつなげていきたいという意向を示した。

宮坂氏が語った『お買い物でもYahoo!』について、Yahoo!ショッピングを担当する執行役員 ショッピングカンパニー長 小澤隆生氏は、同ショッピングの流通総額が順調に推移していることをアピールし、「かつてはマイナス成長のこともあったが、前四半期はようやくEC業界の伸びを超え、30.2%の伸びを記録することができた」と述べた。

流通総額の推移

同氏は流通総額が増えた理由として商品数が増えことと、Tポイントキャンペーンなどによりお得感が浸透してきた点を挙げた。

商品数の増加は店舗数が当初の2万店から35万店に増えたことが大きいという。これにより商品数は1.9億点を超え、2016年の3月までには楽天を抑え、国内トップの商品数になる予定だという。

商品の充実の以外にも売り上げに貢献している点としては、1,000万人いるプレミアム会員に5倍のポイントを付与することによる利用促進も大きいという。また、ソフトバンク会員3,900万人とTポイント会員5,500万人に対するアクセスしやすさを改善した点も効果が出ているという。

プレミアム会員の利用促進

Softbank会員3,900万人とTポイント会員5,500万人の取り込み

そのほか、ホークス優勝セールや11月11日の「いい買い物の日」といったセールによる売り上げの伸びもあったという。

今後については、シニア向けアプリ「らくらく通販」をリリースし、シニア層の取り込みを行っていくという。

「らくらく通販」

ヤフー 執行役員 決済金融カンパニー長 谷田智昭氏

宮坂氏が指摘したもう1つの変化である決済について、執行役員 決済金融カンパニー長 谷田智昭氏は、「Yahoo!プレミアムの会員はついに1,000万人を超えた。これは、ソフトバンクやY!mobileとの提携が大きい。今後は、プレミアム会員であれば常にTポイントが5倍もらえるキャンペーンを実施し、Yahoo!ショッピングを使ってもらい、ECを活性化していきたい」と述べ、会員獲得施策としては、「Yahoo!のログインユーザーを増やすため今年の10月からソフトバンクのユーザーが1クリックでログインできるサービスを開始した。今後はドコモやauにも展開していきたい」と述べた。

会員情報入力不要なスマートログイン