そんなランサムウェアの行く先は、現在のモバイルデバイスの潮流に合わせるように「ウェアラブルデバイスに行くだろう」とRosch氏は話す。
「現在登場しているスマートウォッチはスマートフォンやタブレット端末などと同期して情報をすぐに見られる。消費者からすれば、その"同期"に利便性が高いと感じている。ただ、この利便性の高さは多くの優良アプリと同様にマルウェアでも同じこと」(Rosch氏)
シマンテックでは、Android Wearを狙ったランサムウェアを"試作"し、Androidアプリの実行ファイル(.apk)をスマートフォンからスマートウォッチへ仕込んだ。この実験では、スマートウォッチへの通知を一秒ごとに行い、「金銭を支払え」と常に通知して事実上、使えなくしたという。
現状のテストでは初期化すれば問題ないものの、常に通知が来て「使いものにならない」状況のスマートウォッチとなれば、そのまま破棄する人も出てくることだろう。なお、Rosch氏によるとiOS端末やApple Watchについてはいわゆるホワイトリスト方式のアプリストアであるため、こうしたランサムウェアが入る余地はほぼ皆無のため、Androidに限って注意した方が良いとした。
また、ウェアラブルデバイスに限らず、ネットに繋がるテレビ、ネットに繋がる"家"など、いわゆる「IoT」の領域は急速に拡大している。これらのセキュリティは、セキュリティベンダーとしてどのように保つのだろうか?
「家庭内には非常に多くのIoTデバイスが存在するようになった。もちろん、iOS端末のように一部はセキュリティが高いものもあるが、ほかは決して高いとはいえない。こうした環境でセキュリティを保つためには、ネットとのゲートウェイに位置する"ルーター"はいい着眼点だと思う。
ノートンとしては、これまでも様々な(ハードウェア)パートナーと連携しながらセキュリティに対する取り組みを進めてきた。私たちからいつか、ハードウェアパートナーにそうしたオファーはするかもしれないが、今はソフトウェアに注力する。ただ、次に私が来日する時は、この分野(IoT)に関する発表をやるかもしれない(笑)」(Rosch氏)