「大判図面をタブレットで快適に扱いたい!」現場の現場の切実な要望にセイコーアイ・インフォテックが応える
製造業や建設業の現場では多くの図面を扱う。図面の大きさはさまざまだが、家電製品から自動車・航空産業、ビルや大規模プラントなどの建設現場で扱う図面はA0からA2版の大判図面を大量に扱うことになる。
かつては手書き図面を青焼きコピーして配布されていた紙図面は、CADや大判プリンターの普及によって、手軽に高精細な紙図面を利用できるようになった。しかし、紙図面にはいくつもの問題がある。コピーが容易で情報漏洩につながりやすいこと、大量の紙図面はかさ張るので持ち運びに不便なだけでなく、書庫などの保管スペースが必要なこと、設計変更や図面への追記といった情報をリアルタイムに共有しづらいことなどが代表的な問題だ。
これを解決する手法として、図面をデジタル化しようという動きが進んでいる。閲覧者やコピーを制限することで情報流出に備えることができるし、紙に比べれば圧倒的に情報の共有もしやすい。2010年にiPadが初めて登場した時、今後はデジタル図面が現場でも活用されるチャンスだと誰もが考えたはずだ。しかし実際には、それほどタブレット端末でのデジタル図面の活用は進んでいない。
「図面をPDF化するということ自体は多くの企業が取り入れているのですが、原図を正確に再現できないとか、大判図面データは重くて現場での閲覧に支障があるということから、あまり積極的に活用されていません」と語るのは、セイコーアイ・インフォテック 企画営業部 ソリューション推進担当の田中直樹氏だ。
セイコーアイ・インフォテックは精密なプリントのできる大判プリンターメーカーとして、40年以上に渡り国内外の製造業や建設業ユーザーに製品やサービスを提供してきた。その中で図面を扱うプロの厳しい要求に応えて開発を進めていく中で、紙図面に替わるデジタル図面の必要性を痛切に感じ、その解決についても取り組んできたという。
「デジタル図面の活用にはいくつかの課題があるとされていました。最近はクラウド上で共有化するという選択肢がありますが、機密データである設計図をクラウド上に置くことには抵抗を感じるお客様も多くいらっしゃいます。デジタル図面のセキュリティを確保しつつ、現場の利便性は損ないたくないという要求への答えとしてTerioCloud(テリオクラウド)というサービスをご提供することになったのです」と田中氏は語った。
正確なデジタル図面を作成し、オンプレミス&クラウドで活用
「TerioCloud」は、クラウドという言葉が名称に入っているが、オンプレミスでも利用できるという特性を持っている。製造業や建設業の要求を熟知したセイコーアイ・インフォテックが提供するクラウドサービスを活用してもよし、ユーザーが保有するオンプレミス環境で運用してもよし、というフレキシブルなソリューションだ。
機能的な特徴は、前述した課題に正面から応えたものとなっている。 「TerioCloud」であつかえるファイルフォーマットはTIFFやPDFだけでなくCADデータ(DWG、DXF、JWW)にも対応している。これらのCADデータをテリオクラウド(もしくはオンプレミス)サーバーでPDFに自動変換するのだが、このサーバーで作成されたPDF図面はCADデータ通りの線幅や線分の長さ保持しているという。セイコーアイ・インフォテックならではの ノウハウを駆使して紙図面同等の正確なデジタル図面が作成できるのが最大の特長だ。 その正確さは、タブレット画面においてもアプリで指定した縮尺通りに表示できるので、紙図面と同じようにタブレットに三角スケールをあてて寸法を計測できるのだ。また、ビューワーアプリの中に電子スケールを表示して縦横斜めの方向を自在に計測することもできるのだ。
(左)図面の線幅や長さを正確に表現するPDFの作成が可能。(右)さらに大きくて重い大判図面データも非常にスムーズに表示できる。拡大、縮小、移動といった動きをするたびに画面がギクシャクするようなことはないし、表示がズレることもない。非常になめらかに見たい部分が見たいサイズで瞬時に表示可能だ |
クラウドでもオンプレミスでも、図面管理システムそのものを「TerioCloud」に移行する必要はない。現場で使う必要のある、現在進行形の図面だけをPCからアップロードし、現場の担当者がタブレットに必要な図面のみダウンロードして利用する。ここで重要になるのが、このタブレットから図面をメールに添付して送信したり、取り出したりすることはできないようになっているので、ダブレットの紛失や不正利用によるセキュリティ面での問題もクリアできるのだ。