アドビ システムズは、Adobe Creative Cloud フォトグラフィプランのSpring Updateとして、新しい写真現像・管理ツール「Photoshop Lightroom CC」(2015リリース)を発表した。これまで製品のアップデートごとにナンバリングされてきたLightroomにも、ついに「CC」という二文字が加わった。その一方、パッケージ版として「Photoshop Lightroom 6」も発売。パッケージ版にはクラウドストレージやモバイルアプリとの連携など、CCならではの一部機能は含まれないが、新機能については「Lightroom CC」と「Lightroom 6」」に差異無く、同等に収録されている。
約2年ぶりのメジャーアップデートとなった新バージョンでは、画像処理や管理に役立つ新しい機能や拡張機能が数多く導入されているが、ここでは特に注目の新機能にフォーカスし、筆者が撮影した写真を中心にレビューを行い、各機能の特徴を紹介していく。
早川厚志
フリーライター/フォトグラファー。MacやiPhoneなどのアップル製品、フォトグラファー向けツールに関する記事を中心に執筆。ライターとしての活動の傍ら、「ゲッティ イメージズ」などのストックフォトに撮影した写真を提供・販売している。
手持ち撮影の写真もOKな「HDR 写真の結合」機能
晴れた日に風景などを撮影すると、日陰と日なたで明暗の差が著しくなるのは写真の宿命。白飛びしないように露出を低く抑えると暗い部分が黒くつぶれ、反対に露出を上げると明るい部分が白飛びし、美しい風景を見たままに再現できない。そこで考え出されたのが、異なる露出で撮影した複数の写真を合成して、白飛びや黒つぶれのない写真に仕上げる「HDR」(ハイダイナミックレンジ)だ。
HDR写真の作成には、これまではPhotoshop等を用いる必要があったが、新しいLightroomには「HDR 写真の結合」機能が追加され、露出の異なる複数のRAW画像を簡単に結合して高品質のHDR画像を作成できるようになった。
"露出の異なる複数の写真"を用意するためには、カメラを三脚等で固定して撮影するのが一般的だが、新しいLightroomの「HDR 写真の結合」機能には、複数の写真の位置ズレを自動的にそろえ、まっすぐにトリミングしてくれる「自動整列」オプションが搭載されている。これにより、手持ち撮影であっても「ほぼ同じアングル」の写真であれば、HDR写真の素材として利用することが可能となっている。
さらに、風で揺れる木の葉や動く人物、波など、写真ごとに露出が変化している(動いている)箇所を自動的に検知し、さらに露出を均一化してくれる「ゴースト除去量」オプションを搭載。これにより、ゴースト現象や半透明の被写体が生じるのを回避することが可能だ。