また、報告書の標準化は意外な効果も生んでいる。全国に散らばる他のサテライト担当者がレポートしている報告書を、別の地域のサテライト担当者が参考にするようになったというのだ。
「これまでも他の地域の報告書を見たいという要望はありました。i-Reporterの導入で他地域の報告書を見ることができるようになったので、時間が空いた時に参考にしている担当者も多いようです。全国で報告書を統一し共有することで、個々のサテライト担当者のレベルアップに繋がっているようです」(井上氏)
JMのサテライト担当者は基本的にフィールドワークが中心で、店舗の点検では屋根に上ったり悪天候の中での作業となることもある。JMによれば、外での作業が前提になるサテライト担当者の安全を確保する上でも、i-Reporterは貢献しているという。
フィールドワークの多い担当の為にできるだけ入力が少なくてすむように作成されているi-Reporterのフォーマット |
現場だけでなく本社でも、i-Reporter導入で作業状況がより一層可視化され、顧客への進捗報告がスムーズになった |
「弊社のサテライト担当者は基本的にフィールドワークが多く、外での作業が前提になります。雨などの悪天候の中での作業や店舗の点検では屋根に上ったりすることもあり、危険を伴うこともあります。担当者にiPadを支給しても、入力内容が分からずに迷ったり、一文字づつ入力するなど時間を要するような状態では好ましくありません。今回、シムトップス様にi-Reporterを改良していただき、できるだけ入力が少なくて済むフォーマットを作成しました。例えば店舗の情報や点検する担当者の名前、所属先といった、事前に分かる情報は、手書きではなく選択式で入力できるようにしたり、点検内容も該当項目をチェック式・選択式にしました。入力を選択式にすることは、あとで集計する際にも便利です。できるだけ文字の手入力をなくすことで報告書のレベルの均一化だけではなく、担当者の作業への負担軽減、安全等にも配慮することができました」(井上氏)
i-Reporterと点検業務は相性が良い
JMではi-Reporterを使った点検を大手自動車メーカーディーラー以外のいくつかの点検業務にも適用、展開している。
「i-Reporterと点検業務は相性が良いと感じています。今後は点検のフォーマットも社内で標準化し、どんな施設であっても項目を変えるだけで利用できるようにしていきたいです。フォーマットの標準化により、サテライト担当者が入力に迷う頻度が減少し、当社の点検業務全体の質をアップさせることに繋がると考えています」(小林氏)
「当社では点検作業以外に、改修工事などを行っています。改修の現場では欠かさず、日報が提出されています。点検の報告書に限らず、いろいろなシーンで帳票が使われているので、i-Reporterをさらに活用していきたいと思います」(井上氏)
JMが提供するメンテナンスサービスは現状、建物や施設などが中心だが、今後は電柱や道路、橋といった都市インフラにもサービスを拡大していきたいと考えている。
「都市インフラには点検の担い手がいないという課題があります。しかし点検のノウハウ自体は自治体などが所有しています。これらのノウハウをi-Reporterでの点検にうまく落とし込めば、都市インフラの維持管理の課題を当社が解消できるのではないかと考えています」(井上氏)
JMの今後の事業展開が楽しみである。なお、今回の取材の模様を以下の動画にまとめてあるので、併せて確認いただきたい。