2014年も残りわずかだが、今年もIT業界ではさまざまなニュースが報道された。そこで、Mashableが「2014年、よりよい世界につながるイノベーション14(原題:14 innovations that improved the world in 2014)」で、世界を変える画期的な技術という観点から、2014年に発表されたイノベーションをピックアップしているので紹介しよう。
(1)スマート補聴器「ReSound LiNX」
ReSound LiNXはiPhone/iPad/iPod touchを利用する小型補聴器として、2月に発表された。小型の補聴器を耳に装着することで、Bluetooth経由で音の調整ができる。ワイヤレス・ヘッドフォンとしても利用できるし、アプリを利用してデータを記録するなどの機能もあるほか、特定の位置でボリュームを大きくするといった設定も可能な優れモノだ。
(2)ロボコップ「Telebot」
フロリダ国際大学のDiscovery Labの学生が開発したロボットが「Telebot」だ。2012年にスタートしたプロジェクトで、2月にプロトタイプが公開された。体長6フィート(約1.82メートル)、重さ75ポンド(約34キログラム)で、パトロールを担当する身体に障害を持つ警官の支援を目的とする。
遠隔とのコミュニケーションを実現するテレプレゼンス技術とロボット技術を組み合わせたもので、利用者はVRヘッドセット「Oculus Rift」、モーショントラッキング機能のついたベスト、アームバンド、モーションセンサーの付いた手袋を利用して、遠隔からTelebotを操作できる。
プロトタイプの後、外見をさらに強化し、次はフィールドテストを行うとのこと。来年は"ロボコップ"の登場に期待したい。
(3)バックパック式モバイル「Instant Network Mini」
Vodafone Foundationは2月、Huawei、Telecoms Sans Frontiereと共同で開発した「Instant Network Mini」を発表した。重さ約11キロのバックパックだが、中身はモバイルネットワークの構築に必要な機器が詰まっている。わずか10分でモバイルネットワークを立ち上げられるという。通信は衛星を利用し、1セットで半径100メートル以内の最大5台までの携帯電話が同時に通話できる(テキストメッセージなら数千単位とのこと)。自然災害などの非常事態に役立ちそうだ。
(4)0.5ドルの紙顕微鏡「Foldscope」
3月、スタンフォード大学のManu Prakash氏が発表したのが、紙でできた顕微鏡「Foldscope」だ。文庫本サイズの紙を基盤に、最大2000倍の倍率を持つレンズが付いており、価格は0.5ドル。Prakash氏の目的はアフリカなどでの感染症予防のためで、使用後に燃やせる安価なものとして作成したようだが、児童向けに使えそうだ。
(5)衛星とエコのためのトイレ「Sol-Char Toilet」
世界には、清潔なトイレを利用できない人が25億人いると言われている。しかし、衛生状態の改善なくしては、感染症の蔓延を根本的に改善することはできないい。そこで、コロラド大ボルダー校の研究チームが作成したのが、太陽熱を利用したトイレ「Sol-Char Toilet」で、3月に発表された。
このトイレは屋根に太陽集光器を備え、光ケーブルと放物面鏡を利用して汚物を暖めて"バイオ炭"を作る。これは農業や燃料に再利用できるという。
(6)ソーラーパネル道路「Solar Roadways」
5月、アイダホのベンチャー企業であるSolar RoadwaysがYou Tubeに投稿した「Solar FREAKIN' Roadways」という動画が口コミであっという間に広まった。この動画では、強化ガラスと光電池による"セル"でできたパネルの上を自動車が通る。このパネルは発電もするほか、熱や寒さを感知して調節したり、さらにはLEDで道路を明るくしたりといったことも可能という。
Solar Roadwaysは2009年に連邦道路管理局から出資を受けており、フェイズ2となるプロトタイプを3月に完成させたところだ。
(7)世界最速・最小のナノモーター
テキサスの研究者が「Ultrahigh-Speed Rotating Nanoelectromechanical System(NEMS)」として、新しいナノモーターを発表した。塩粒よりも500倍小さく、回転は毎分1万8000回とジェットエンジンと同レベルで、これまでのナノモーターと比べ、大幅な高速化を実現した。もっと画期的な点は、このナノモーターが同期して回転できる点だ。これにより、ガン治療などの分野に利用できると期待されている。