SCSK ITプロダクト&サービス事業本部ネットワークプロダクト部技術課 牧野 淳氏

続いて、SCSK ITプロダクト&サービス事業本部ネットワークプロダクト部技術課 牧野 淳氏が登壇し、「RTX1210の性能検証結果」を報告した。検証したのは、スループット性能とTCPコネクション処理性能の2つだ。

スループット性能は、近年のネットワークの高速化の状況から、以前にもまして重要になってきているという。WAN回線のサービス速度は1Gbps以上になり、クラウドやデータセンターを使って大量のデータを送受信することが増えた。増加するトラフィックの処理が滞ると、サービスの低下や最悪の場合、ネットワークの停止に陥る可能性もある。

スループット性能

検証は、LAN接続とVPN接続のそれぞれについて実施した。LAN接続は、1台のルータに双方向に負荷をかけた際のIPルーティングのみのでの性能を、VPN接続では、2台のルータ間をVPN接続(IPIP/IPSec)し、VPNトンネルを通信するように双方向に負荷をかけた際の性能をそれぞれ検証した。

VPN接続(L2TP/IPSec)のスループット性能

まず、LAN接続では、カタログスペックの2Gbpsを達成できていることを確認、さらに、64byteのショートパケットでのスループット性能(pps)は、300kppsで、旧機種の3倍超の性能だったとした。

著しい性能向上はVPN接続でも確認できた。暗号化のないIPIPでは、RTX1100と比べて7倍、RTX1200で2倍になった。さらに、IPSecのIKEv1/IKEv2(暗号/認証方式はAES-128、HMAC-SHA1)では、RTX1100と比べて15倍、RTX1200と比べて実に7倍の性能となった。

では、TCPコネクション処理はどうだったか。スループットと同様、LAN接続とVPN接続でそれぞれ計測したところ、LAN接続ではRTX1100から40倍、RTX1200から10倍となった。また、VPN(IPSec)接続では、RTX1100から3l0倍、RTX1200から9倍となり、それぞれ大幅な性能向上が確認できた。

「総括すると、RTX1200からRTX1210にリプレースするだけで、スループット性能は約7倍に、TCPコネクションは約9倍になる。拠点ルータだけでなく、センター側の機器をあわせてリプレースした場合、ネットワーク性能向上の相乗効果も期待できる」(牧野氏)

リプレース案としては、固定回線を引けないような場合にモバイルインターネットを利用してVPN接続を構築できるようにするケースや、ISDNからの移行で「データコネクト」などの付加サービスを利用できるようにするケース、移転や合併で拠点のネットワークを変更する際に同一アドレス形態で管理するケースに向いているとした。