使いこなすためのノウハウやサポートも提供

「Geomagic Capture」に限らず、3Dスキャナーは、これさえあれば何でも自動的にデータ化できるというものではない。苦手とする対象物もあるため、できるだけキレイに読み取らせる工夫が必要だ。

「非接触式のスキャナーでは光をあててカメラで見ますから、対象物の表面が反射しやすい材質のものはそのままではきちんと読み取れない場合があります。このような場合は表面に細かな粉をまぶすなどして反射をおさえるなど工夫する場合もあります。また、当然カメラから見える範囲しかスキャンニングできませんから、対象物をうまく回転させながら何ショットかに分けて全体をスキャンニングする必要があります」と大和久氏は語る。

スキャンを補助するマークを書き込んだシールをランダムに配置した台

セイコーアイ・インフォテックで行うデモンストレーションでは、家電量販店などで販売されているテレビ用の回転テーブルを活用している。上に載せた対象物を簡単に回転させられる。そこに、小さな丸印のマークをランダムに貼り付け、中央部に対象物を置く。

「少しずつ重なりが出るように撮影したものをアプリケーション内で合成するのですが、ランダムなマークでその位置合わせの補助を行います。対象物の置き方も、より認識されやすい置き方を工夫すると効率的に読み取りが行えます」と大和久氏。

対象物がきちんと読み取れるかどうかを画面で確認しながら露光を調整する

読み取りやすい向きに置くなどの工夫も必要だ

さまざまな工夫を行って読み取ったデータも、そのまますぐに3Dプリンターに出力や3D CADへの展開ができるわけではない。「読み取った段階では細かい点の集合体なのですが、これをポリゴン化します。さらに、それを補足したり、補正する作業は必要です。穴やエッジの深い部分はカメラでとらえきれずデータとして取得できません。そういった部分はCADでの設計と同様に数値情報を与えて修正するなどが必要です」

こうしたスキャンニングのためのノウハウ提供はもちろん、アプリケーションを使いこなしてもらうためのサポートもセイコーアイ・インフォテックでは用意している。

「最も機能の豊富なDesign Xソフトウェアの場合2日間でアプリケーションの使い方を一通り学ぶトレーニングコースを用意しています。ただ、アプリケーション自体は、日本語のヘルプやチュートリアルも非常に充実していますので、3D CADの経験ある方であれば、導入後に一通り触っていただき、なんとなくつかんでからお受けになるというのも効果的だと思います。受講後に実際に使っていく中でも疑問はたくさん出てくるでしょうが、そういった時にもサポートさせていただきます」と大和久氏は語った。

サポート力を生かした展開と同時に、新たな分野も開拓

長く業務用プリンターを提供してきたセイコーアイ・インフォテックは、国内に多くのユーザーを抱えている。そして、信頼を勝ちえるだけのサポートなどのサービスも提供してきた。

「Geomagic Captureの製造元でもある3D SYSTEMSからは、3Dプリンター同様この3Dスキャナーを、これまでの弊社のお客さまに紹介して、業務の効率化を推進することが期待されていると感じています。お客さまからは、これまでのような充実したアフターサポートが受けられるだろうという信頼を感じます。どちらにも応えていきたいですね」と大和久氏。

「3Dプリンターを利用するには当然3Dデータが必要であり、製造業での活用の場合3D CADによるデータ作成が一般的です。CADでの設計業務がゼロになる事はありませんが、Geomagic Captureで既にあるパーツをスキャンニング、その形状データを基としその後の3D CADでの設計作業を効率的に進めていくなど活用いただける場面は多いはずです。Geomagic Captureのラインアップにより、3Dプリンターの活用機会や利用価値を高める提案などシナジーを生み出したいと考えています」と大和久氏は思惑を語る。

そんなセイコーアイ・インフォテックの意欲が詰まった「Geomagic Capture」を実際に見られるチャンスがある。9月24日から3日間、インテックス大阪にて開催される「関西 設計・製造ソリューション展」で、今回紹介した「Geomagic Capture」や、最新のデスクトッププロフェッショナル3Dプリンター「ProJet 1200」が出展される。コンパクトなものづくりや、製造業などでの効率化を考えているならば、ぜひ実物を見てみてほしい。