デルは2014年8月、パートナー事業を強化すべく組織改編を行った。これまではダイレクト販売のイメージが強く、実際に売上比率も圧倒的にダイレクト販売の方が多かったというデルが、なぜパートナーシップ強化に乗り出したのか、その目指すものは何なのか、執行役員でありパートナー事業本部長 兼 西日本営業統括本部長である渡邊義成氏に聞いた。

デル 執行役員 パートナー事業本部長 兼 西日本営業統括本部長 渡邊義成氏

日本の商習慣に合わせたパートナー事業強化に向けて新事業部を設立

渡邊氏は1998年に入社以来、デルでSMBやコンシューマー向けの部門を中心に活動してきた人物だ。社内ではダイレクト販売部門に強い人という印象を持たれている中、8月に新設されたパートナー事業本部の本部長に就任した。

「もともとデルでは、GCC(グローバルコマーシャルチャネル)というアジアパシフィックの統括下にあった組織が、日本でのパートナー事業を担当していました。しかし、グローバルのやり方が日本に合わないこともあります。これまでパートナーさんからは、やりづらいとお叱りをいただくこともありました。私自身、もっと変えた方がいいだろうと何度か進言していたこともあり、今回の組織変更時に任されたというわけです」と渡邊氏は経緯を語る。

元のGCCのメンバーに、新たにパートナー事業に取り組む人員を加えて、人員数を倍増させた状態で渡邊氏が率い、日本法人の統括下に新事業部を立てたのがパートナー事業本部だ。これからは日本は日本らしさをもって、よりパートナー事業へ注力するという大きな決意の表れでもある。

「地域密着型への転換は、デル全体で取り組んでいる課題です。すでにインドでは5月から先行して取組み、良い結果を出しています。各国でやり方は違うのに、グローバルで合わせるだけでは成長に無理が出てくる、ということから転換を図っています」と渡邊氏。

こうした配慮は、ダイレクト販売を行っているうちはそれほど必要なかったが、パートナー事業を強化しようとすると不可欠なものだという。

「エンドユーザーのお客様というのは世界的にそれほど変わりません。どの国にも小さな企業から大企業まであり、その要望の多くは似通っています。しかし、パートナー企業との関わり方は各国で違ってくるのです。日本は特に日本独自の商習慣があるので、大きな転換になるでしょうね」と渡邊氏は語る。