日本国内では広く普及してきた印象のある無料通話・メールアプリ「LINE」。同アプリ内でのコミュニケーションに使われる「LINEスタンプ」を個人のクリエイターなどが制作・販売できる「LINE Creators Market」でのスタンプ販売が始動して、もうすぐ3カ月になろうとしています。

キャラクター「ウアモウ」の生みの親であり、秋葉原エリアの高架下商業施設「2k540」内にアトリエ兼ショップを構えるクリエイター・高木綾子さん

このプラットフォームから、若手女性クリエイター・高木綾子さんが生み育てたキャラクター「ウアモウ」のLINEスタンプが発売されました。「ウアモウ」はフィギュアをメインに国内外で展開しているキャラクターですが、LINEスタンプ制作・販売に取り組んだことで、これまでにない"変化"があったといいます。今回は、初のスタンプ制作に取り組んだ高木綾子さんに、制作の上で工夫した点やリリース後の手応えについてお話を伺いました。

――「LINE Creaters Market」でスタンプを販売されていますが、この取り組みのきっかけは?

「ウアモウ」の電子書籍アプリなどでソニー・デジタルエンタテインメント・サービス(以下、ソニーデジタル)さんとお仕事をさせていただくなどのご縁がある中で、同社の福田社長からお声がけいただいて制作しました。ここ1年くらいからスタッフやお客様からも「なぜウアモウのLINEスタンプが出ないのか」とずっと言われていまして(笑)、そんなタイミングでお声がけいただいたこともあり、サポートしていただく形にてリリースすることになりました。

――「LINE Creaters Market」は個人でもLINEスタンプの申請・販売が行える仕組みですが、ソニーデジタルと組んだことで、どういったサポートが受けられたのでしょうか?

第一にプレス力、広報に関する体制です。個人の作家は誰しも「作ったものをみなさんに使ってほしい!」という思いは持っているものの、作品の情報を広く伝える手段をなかなか持ってないので、その面でバックアップしていただけるのは心強いです。Web媒体での告知のほか、はがきサイズの紙にスタンプの図柄を印刷した「アドカード」を配布していただいていて、とても助けられています。クリエイターズスタンプは1日に新作が大量に出ることもありますし、また知らないものを検索することはできないので。

また、スタンプを制作する段階でも、これまでに多くのLINEスタンプをリリースしてきたソニーデジタルのベテラン社員さんからのアドバイスに助けられました。個人で制作していると全部の図案に愛着がわいてきてしまって、取捨選択ができなくなったり、ニーズのないものを選んだりしてしまうんです。プロジェクトとして取り組んでいただけたおかげで、そうしたフローがスムーズに進み、スピード感のあるリリースができたと思います。

――ラフは全部で何案ほど制作されたのでしょうか?

最初に制作したラフは75案程度だったかと思います。その中から、ソニーデジタルのみなさんがよいと思うものに投票してくださって、票の集まったものを最終版に落とし込んでいく、という流れで進めていきました。たくさんのイラストを描いていると、知らないうちにかぶっている絵が出てくることがあるので、ある程度喜怒哀楽で分類し、そこから選定を進めました。

さらに、投票の結果を受けつつ、私自身が「これはやっぱり入れたい!」というものを差し戻して入れていただくなどの調整がありつつ、最終的な図案を決めました。

――発売後の売れ行きはどうでしたか?

初日に、クリエイターズスタンプのランキング上で25位を獲得することができました。

――では、そういった部分以外で、「ウアモウ」のLINEスタンプのリリース後の反響はどんなものでしたか?

身近なところではスタッフ、そしてお客様が買ってくださいました。「ウアモウ」のお店のLINEグループがあるのですが、そこでも活用されています。トークルームがウアモウだらけになっています(笑)