富士通フォーラム2014 東京の展示会場では、基調講演で紹介されたビジネスの近未来像に基づく最新技術が多数披露された。続いては、そちらを紹介しよう。

富士通製レタスを来場者に配布

来場者を最初に迎えたのは、基調講演で山本社長が頬張った、植物工場のレタスである。入り口ゲート正面に植物工場の様子が展示されたほか、レタスも配布された。

会場で展示されていた植物工場の様子。クリーンルームで作られているため、出荷したレタスは洗わずに食べられる

配布されていた富士通製レタス。パッケージに富士通のロゴが入っている。カリウム含有量が少ないため、腎臓病を煩う人でも安心して食べられるという

車内外の情報を取り込み、運転をアシストするVehicle ICT

次いで注目を集めていたのが自動車向けICTの展示ブース。次世代の「Vehicle ICT」として、車載サーバと多数のディスプレイを備えたシステムが披露された。車載サーバは、各種のセンサーにより車両情報を集約して表示するうえ、車外の情報を取り込む機能も備えている。

車載サーバは、スマートデバイスと連携したり、クラウド経由で渋滞情報を取り込んだりすることが可能。セキュリティ機能も備えており、外部からの攻撃をブロックする役割も果たす。

自動車向けICTの展示。座席の背面に車載サーバが取り付けられている。正面のメインディスプレイに自動車の基本情報を表示。その左右に車体の背面を写すモニターが設置されている

運転席右側の車両ディスプレイには、ナビゲーションや車両の情報が表示されているほか、最後部のディスプレイは触感パネルで、エアコンを操作できる

3Dレビューがもたらすメリット

3D表示による設計レビューの変革も注目を集めた展示だ。

3D対応のホログラムディスプレイ「zSpace」により、部品の側面や背面も含めたデザインの詳細を立体表示で確認できる様子を紹介。さらに、床、先方、左右の4面スクリーンによるバーチャル・リアリティ技術「EON Icube Mobile」も設営され、建築現場の途中経過や完成像を確認したり、製造パーツの細かい部分をレビューしたりできることが示された。

3D表示のデモも多数展示された。こちらはメガネをかけて3D表示するタイプの端末。製造部品を3D表示し、回転させたり、分解したりして確かめることができる

3Dの映像の中に入って体験できるスクリーンタイプの展示も。建築現場などを仮想体験することが可能

センサーの活用で店舗は大きく変わる

マーケティング変革をテーマにしたブースでは、視線検知技術を活用したソリューションや、Kinectを活用した利用客の行動分析のデモが披露された。

視線検知では、利用客の注目が集まりやすい商品や展示方法を把握したり、目で追った商品の紹介をディスプレイに表示したりするシステムを展示。Kinectに関しては、商品前に立ち止まったり、手に取ったりした利用客を把握し、アクションに応じて追加情報を表示したり、店員が装着するGoogle Glassに情報を送って、フォローさせたりする様子が示された。

小売店向けの視線検知のデモ。商品(小物入れ)の棚の下に単三電池と同等サイズの視線センサーが置いてあり、来店者の視線を把握する。上部のディスプレイでは、視線のログをヒートマップ形式で視覚化している。センサーは40cm~70cm程度まで検知可能

こちらは、遠距離センサーのデモ。一番下の棚に置いてあるセンサーで検知。5m~7mくらいまで検知できる。上部のディスプレイには、利用客が見た商品の詳細情報が自動で表示される

Kinectを使って客の行動を分析するデモ。商品を持ち上げると、該当商品の詳細を説明する動画(GENTLEという文字が浮かんでいる部分)が表れる

利用客の行動はGoogle Glassを使って把握可能。Google Glassでクレジットカード番号を読み取り、決済することもできるという

触感を伝えるタブレット端末

展示会場において最も長い列ができていたのが、触感を伝えるタブレット端末のデモである。

タブレット端末の画面をなぞると、触れた部分の表示内容に応じて振動を伝える仕組みで、何もない部分ならつるつるの触感が、大きな突起のある部分であればでこぼこの触感が得られる端末になっている。

こちらは常時10人以上が列を作り、1人あたり1分までという制限がかけられるほどの盛況ぶりだった。

触感を伝えるディスプレイを備えたタブレット端末のデモ。ワニの背中部分では大き目の突起を感じ、顔の部分では小さめ突起を感じる

砂に埋まったレリーフのデモ。細かい触感の砂を払いのけると、髭/髪部分ならざらざら、何もない部分ならつるつるした触感が得られる

ビッグデータ時代のストレージ/サーバ技術

そして、来場者を最後に迎えたのがICTインフラを支える、サーバ/ストレージ群である。

ストレージでは、ビッグデータ時代に対応するべく、大規模なデータ保存容量/キャッシュ容量を備えたシステムを展示。構築コストを下げるため、SSD、オンラインディスク、二アラインディスクの3種類に自動で保存先を振り分けるほか、特定のサーバに向けたネットワーク帯域を優先的に確保するQoS機能が組み込まれていることなどが説明された。

また、サーバに関しては、同社が提供する高性能UNIXサーバ「SPARC M10」を設置。データベースシステムの高速化、コスト削減を実現するシステムとしての事例が説明され、システム管理者の関心を集めていた。

ストレージの展示。ETERNUS DX S3のオプションとして提供されている高密度ドライブエンクロージャを中段に搭載している。そのほかにも、同じくオプションの「Extreme Cache」のほか、5月8日に発売されたばかりのオールフラッシュアレイ「ETERNUS DX200F」、ネットワークディスクアレイ「ETERNUS NR1000 F8020」、ディデュープアプライアンス「ETERNUS CS800 S4」なども展示されていた

SPARC M10の展示。1CPUあたり最大1TBのメモリを搭載可能。Oracle Databaseを、10年前の9iから最新の12cまで広くサポートする。Extreme Cacheを搭載すれば、高速なデータベース環境を構築可能

なお、富士通フォーラム2014 東京で紹介されたサーバ/ストレージ技術の詳細については改めて別のレポートで紹介する予定である。そちらもぜひ楽しみにしてほしい。