既存製品の機能強化も続々と…
また、今回のコンファレンスでは、既存製品の機能強化も発表された。
ロードバランサーの「NetScaler」はバージョンが10.5となり、「MobileStreamテクノロジー」が追加された。これは、セキュリティを強化しながらモバイルネットワークとアプリケーションのパフォーマンスを向上させる技術。既存のバージョンと比較し、最大5倍のパフォーマンスが向上したという。
また、企業向けオンラインストレージ製品の「ShareFile」は、オンラインストレージサービスとの連携機能とセキュリティを強化したほか、開発者向けに「ShareFile StorageZone Connectors SDK」の提供も開始した。同SDKでShareFileのユーザー企業は、エンタープライズコンテンツ管理(ECM)システムへのコネクタ開発が可能で、ShareFile経由でアクセス/編集できるデータのタイプが拡張された。
そのほか、XenMobileはバージョン9となり、マイクロソフトの「Windows Phone 8」をサポート。バックエンドの統合化によって、包含される「WorxNotes」「WorxEdit」「WorxDesktop」の使い勝手も向上しているという。
さらに2日目のセッションでは、パートナーとの協業製品も発表された。DELLとの提携では、2014年第2四半期にリリースが予定されている、デスクトップ仮想化ソリューションが紹介された。同ソリューションは中堅小規模企業を想定しており、1ユーザーあたり250ドル。シームレスな配布/統合を実現し、単一のUIから管理/モニターが可能だとのことだ。
HPとIntelの協業では、超高密度サーバである「HP Moonshot with XenDesktop」が紹介された。同サーバはCADなどグラフィックを多用する企業向けサーバで、CPUにはインテルの「Xeon processor E3-1200」シリーズが搭載されている。ハイパーバイザーが不要で、従来製品と比較し、44%のコスト削減と63%の低消費電力を実現。最大180ユーザーをサポートし、グラフィック性能は6倍も向上したという。
評価ポイントはモビリティ、セキュリティ、安定性…
2日目のもう1つの目玉は、ユーザー企業によるトークセッションである。金融、医療、製造業など、異なる業種のユーザー企業が登壇し、それぞれの事例を語った。
住宅用および商業用の温水循環式のシステムを製造する米国Tacoは、17年前にCitrix製品を導入。以来、「XenDesktop」「XenServer」「NetScaler」「StoreFront」「GoToAssist」など、Citrixのポートフォリオをほぼすべて導入している。
Citrix製品のメリットについて同社は、ペーパーレス化とリアルタイムの情報共有によるビジネスの俊敏性を挙げる。特に近年はビジネスの成長に伴い、企業買収に関する案件が急増。「世界中を飛び回っている社員たちの情報共有は最優先課題。Web会議システムの『GoToMeeting』で、常に情報を共有している」という。
金融業界からは、オーストラリアのメガバンクであるWestpacが登壇した。6万人のスタッフと850超の支店を持つ同社は、既存の自社システムの老朽化を理由に、システムを刷新。Citrixを選択した理由について担当者は「ユーザー数が増えるにつれ、仮想化デスクトップに対する要求が高まっており、信頼性の観点から鑑みた」と明かす。
現在は、XenDesktop・XenApp・XenMobileを導入し、約1万5000ユーザーの仮想デスクトップ環境を構築。将来的にはMobileWorkpaceを拡大し、支店間での情報共有を活性化させたいと語る。
医療の分野から登壇したのは、カナダ・オンタリオ州の総合医療教育機関であるUniversity Health Networkである。同機関では「医療に携わる人に、ITシステムを意識させないことを目的」にXenDesktop、XenAppなどを導入。現場にいる医師が、その場で患者の情報を確認し、次の治療に役立てられるシステムを構築した。医療分野では情報管理/プライバシーが重要課題となる。担当者は、「情報セキュリティの観点からも、モバイル環境によるデスクトップ仮想化が最適な選択だった」とコメントした。