広告配信の効果を最大化するための判断材料に
ここで、同社がこのRTBから得られる情報をいかに有効活用できるかが、大きな役割を担ってくるわけだ。
大手ビール会社向けに行ったキャンペーンの広告案件を見てみたい。このキャンペーンでは、クライアントのWebサイトにタグを埋め込んでユーザー情報を収集し、これを電通グループのサイバー・コミュニケーションズが独自の切り口でセグメント分けしたオーディエンスデータと照合。どのようなユーザーが訪れているかを細かく分析している。
オーディエンスデータと照合し、データとして改善点や次回プロモーションに役立つデータを盛り込んでいる。 |
※イメージとなります |
その結果、キャンペーンページの閲覧ユーザーは40~60代女性の層が多く、20~30代女性の占める割合が少なかったが、より深い階層の商品詳細ページの分析結果は20~30代女性の割合が上昇していたという。
「クライアント様からは、今までのマーケティングデータ上から40~60代女性の反応率が良いと伺っており、今回のキャンペーンはそれを検証する意味も持っていました。それが結果として表れた一方、興味や関心の強いユーザーが訪れる商品詳細ページについては20~30代の女性の比率が高くなっており、今後のアプローチも含めてご提案をしています」と語る中尾氏(電通 デジタル・ビジネス局 パフォーマンス・メディア部)。
電通では、得られた情報を基にした第三者視点での分析と提案を実施しており、こうした分析を中長期的に行っていくことで、広告配信におけるPDCAサイクルを実現しているのである。
「検証の結果、クライアント様が望むユーザー層とマッチしていればより深く掘り下げ、異なっていればターゲットを移行する、もしくは本来のターゲットを呼び込むための手段を模索するなど、広告配信の効果を最大化するための判断材料になります」と中尾氏は語る。
“インターネット広告の次のチャレンジ”を目指して
今後の展開として「現在、日本国内では1ブランドを対象としたキャンペーンが中心となっていますが、今後は海外で多く見られるマルチブランドでの検証も採り入れていく予定です」と語る岡田氏。
これは、複数の商材を持つクライアントが、それぞれの商材について閲覧ユーザーの重複度合いを分析するというもの。実際に海外では、重複の多い商材に訴求していくと、他の商材にも波及効果が狙えるといった分析結果も出ているそうだ。「まずは重複度合いを見つけ、その閲覧ユーザーのプロファイルを基に分析。
既存顧客の中から特定の属性を持つユーザーに対してクロスセルを狙うといった、消費者インサイトのようなものが見つかる世界観を目指したいですね」と続けた。
最後に岡田氏は「運用型広告はこの先、さらに複雑化することが予想されます。しかし、弊社にはこうした流れに対応できる最先端のメソッドがあり、他社とも異なる軸で取り組んでいますので、そこに価値を感じていただけたら、ぜひ一緒に“インターネット広告の次のチャレンジ”を目指していきたいですね」と語ってくれた。
単純に配信する時代が終わり、次の世代を見据えた施策が必要になっているインターネット広告。広告主からも従来と比べて複雑なターゲティングの要望が増えており、Dentsu Audience Networkのようなサービスで新たな価値を見出すことが、今後より強く求められてくるだろう。