--2014年度下期(2013年7月~2014年1月)におけるデルのサーバ事業のポイントはなんですか?

デルは、サーバ事業において、持続的な成長を目指します。そして、全世界のx86サーバ市場において、ナンバーワンシェアを獲得することも視野に入ってきました。さらに、新たな領域として、高密度サーバ市場に参入し、この分野でも存在感を発揮しています。また、VRTXも高い評価を得ている。VRTXは、ユニークなコンセプトを持った製品ですから、まずはそれを理解してもらう必要があります。そのため、全世界で積極的なマーケティング活動を行っています。

VRTXのコンセプトを理解してもらうと、「なぜこうしたものが、これまで出ていなかったのか」という疑問の声が顧客から出てくるほどです(笑)。これまで他社が実現できなかったのは、それを実現するためのソリューションを揃えることが難しかったこと、あるいは実現するためのパワーと消費電力の両立ができないという問題があったといえます。VRTXは、そのコンセプトを聞くと、多くの顧客が触りたがるんです(笑)。それによってさらに理解を深めていただける。ですから、多くの方々に見て、触っていただく場を作ることが必要だと考えています。

--Dell PowerEdge VRTXの主要ターゲットは、小規模企業や大手企業の支店ということですが?

小規模企業や大手企業の支店では、1~4台のサーバ環境で活用したい、あるいは共有型にしたい、仮想化で動かしたいという要望があるものの、サーバ、ストレージ、ネットワークを組み合わせるのは大変であり、管理が複雑になってしまうという懸念がありました。サーバまわりがごちゃごちゃのケーブルで埋まってしまい、どうにもならなくなったという状況も目にします。さらにデータをどう管理するのか、電源管理をどうするのかといった問題もあります。小規模企業でも大手企業の支店でも、IT機器は、シンプルで、制御された環境で活用したいという要望があるのですが、実はこれはデータセンターで求められている要望と同じです。

VRTXは、サーバ、ストレージ、ネットワークがひとつのボックスのなかに入っており、しかも、それが標準のテクノロジーで構成されている。そして、この部屋にVRTXがあったとしても、エアコンの音よりも静かな環境を実現できる。オフィスのなかにおけるデータセンターといっても過言ではありません。

また、1000台のVRTXを一カ所から管理することも可能ですし、ローカルで管理する際にも使いやすいものだといえます。もともと、あるユーザーから、もっとシンプルなものがほしいという要求に対して用意したのがVRTXの発端となっています。また別のユーザーからは「うちのサーバ管理の担当者は、ドライバも使えないが、それでもこれなら管理ができる」と言われました(笑)。日本でも管理者がいないような中小規模のユーザー、地方の企業ユーザー、大手企業の支店から関心を集めています。

--一方で、高密度サーバであるPowerEdge Cシリーズに関してはどうですか?

高密度サーバは、データセンター向けにターゲットを絞り込んだ製品です。デルのサーバ製品の出荷台数が伸びている理由のひとつは、市場のニーズにあわせて、特定ソリューションの製品を持っていることにあります。PowerEdge Cシリーズは、それを具現化する製品のひとつです。基盤の構成要素は標準的なものであり、それをベースに、それぞれの市場にあわせた形でカスタマイズしています。ですから、規模の経済のメリットを生かして、効率的で、低コストで、信頼性の高いものを提供できるというわけです。

競合他社は汎用的なものか、特定のセグメント向けのものといった提案になり、特定セグメント向けのものはどうしても割高になる傾向があります。しかし、デルでは、最初に全体的になにを作るのか、そのためには基盤をどう作り、どう活用していくのか、ということを決めているわけです。基盤は同じだが、用途にあわせてマザーボードや電源供給部といったものの組み合わせを変更する仕組みを確立しているのです。この考え方は、製品面での効率化だけでなく、システム管理者においても、PowerEdgeの使い方を知れば、他の製品も活用できるということもつながっています。実は、これは飛行機のエアバス社のノウハウから得たものです。エアバス社では、ジェット機の種類や機体の大きさが違っても、コックピットは同じです。これによって、効率化などを実現しているのです。

--発売から1年半を経過した第12世代サーバの成果を、どう自己評価していますか?

2012年3月に発表した第12世代サーバに対する市場の評価には極めて高いものがあります。第12世代サーバは、仮想環境においてベストなサーバを目指して開発したものであり、管理面においてもエージェントレスという新たな提案を行っています。これらは他社に先んじたものであり、その点が情報システム部門などに高く評価されていると考えています。

第12世代PowerEdgeファミリー

エンタープライズユーザーが、サーバを選択する際に最も重視するのは信頼性です。デルのサーーは、この点で他社に比べて長けています。そして、もうひとつの重視されるポイントであるパフォーマンスにおいても、同じCPUと、同じメモリを搭載したHPの第8世代サーバに比べて、デルの第12世代サーバは、11%もパフォーマンスが上回っています。仮に同じ性能を発揮させた場合には、デルのほうが、電力消費量で20~25%下回っています。

デルは、世界で最大規模のデータセンターのメインサプライヤーであり、そこにおいて、いかに効率性を高めるか、あるいはタスクを排除し、自動化するかといったことに取り組んできました。そうした経験が、第12世代サーバのパフォーマンスや管理性などに生かされています。

過去数四半期のデルのサーバビジネスは右肩上がりとなっています。デルは、最新の技術でリードし、実務的な領域において、イノベーションを起こしている。これは、デルがクラウドサーバ市場や、高密度サーバ(Density Optimized Server)市場において、全世界で50%以上のシェアを誇っていることからも証明されるといえるでしょう。

--日本市場において、デルがサーバビジネスを行う上ではどんな点に力を注ぎますか?

日本は世界で3番目の規模を持つ市場であり、デルにとっては重要な市場です。日本で成功するためには、日本でのローカライズに対する体制を整え、全世界と同じタイミングで日本市場に製品を投入することを心がけています。VRTXも同じ日に、同じ機能で、新製品を投入しました。日本の市場ニーズと、世界各国が抱えた課題やニーズは同様なものだと考えていますが、その国の言語への対応だけでなく、より細かい部分についても、どう最適化するのかといったことも考えていく必要があるといえます。