プラットフォーム構想を語った昨年のカンファレンス前、LINEの2012年第2四半期 事業売り上げは3億円にとどまっていた。それが、1年後の2013年第2四半期では、3257%の成長となる97.7億円の売り上げを記録。昨年の同時期、アプリがリリースされていなかったLINE GAMEは、7月の単月売り上げで25.8億円にまで急成長しているという。

また、LINEキャラクターによるライセンス収入、ぬいぐるみ販売などについても、2012年8月からの1年間で40億円の売り上げを記録した。これまで各LINEキャラクターの個別ネームなどでグッズが販売されてきたが、今後は「LINE FRIENDS」というブランド名に統一して展開を行うという。

LINEの成功は、B2C事業だけではない。Webサービス企業として避けて通ることのできないB2Bの広告事業についても、大きな成功を納めている。元々、ゲームビジネスを含めたプラットフォーム戦略は、広告事業だけの収益源に頼りきる脆弱な体質からの脱却を目指したものであった。しかしながら、根幹であるメッセンジャーの広告事業についても順調な収益化を果たしており、LINEがいかに好調であるかが見て取れる。

広告事業は、月間3億円の売り上げだった昨年7月に対し、今年7月は月間10億円にまで成長を果たしている。LINE利用者であれば分かる読者も多いと思うが、LINEでの広告はメッセンジャーで利用される「スタンプ」や、ユーザーへの「トークメッセージ」などだ。タイムライン機能で表示される公式ホームの投稿機能については、試験導入ということもあり、2013年いっぱいは無料で企業に提供されている。

LINEの代名詞であるスタンプは、フィーチャーフォン時代における"デコメール"の代わりとして「ユーザーに親しまれるようになった」と舛田氏は語る。デコメール市場は、最盛期の2009年に228億円の市場規模を誇っていた。舛田氏はデコメ市場の数字を紹介したのち「LINEスタンプは単独会社の事業でありながら年間120億円の売り上げに達する勢いであり、今後はデコメ市場を超える売り上げ規模になるだろう」と成長への自信を見せる。

LINEスタンプは広告事業の要であり、ユーザーの会話に溶け込んでいるスタンプも重要な広告ツールとなる。有料のスタンプは1万種類を超えており、多くの企業から関心を集めている。公式アカウントを持つ企業は100社を超え、リアルグラフ(リアルタイム性の強い関係性)に強みを持つLINEならではの広告展開に対して信頼を集めているようだ。

スタンプ配信についても「マストバイスタンプ」という新たな仕掛けも導入した。これは、企業が販売する商品にシリアルコードを封入。コードを入力することで初めてスタンプを利用できるというもの。このキャンペーンを利用したJTの桃の天然水は、スタンプの20万ダウンロードを達成。スタンプの引換率は16%であったが、これはJTがこれまで行ってきたキャンペーン施策の中で最も高い引換率であったという。

ほかにも、ソフトバンクモバイルと日本マクドナルドのマーケティング担当者が登壇し、LINEのマーケティング効果について実感を語ったほか、大企業だけではなく中小企業向けの公式アカウントサービス「LINE@」について、加盟店舗数が合計1万1000店にまで拡大したことを明らかにした。