ソーシャルメディア先進国のタイで
認められた先進技術

もともとタイではパソコンよりも携帯電話の普及率が高く、スマートフォンの普及率も日本よりも高い先進国である。Googleの調査によれば、2013年のスマートフォン普及率は日本が25%であるのに対し、タイは31%であるという。

「タイではソーシャルメディアの普及率も高く、Facebookの平均利用時間は1日に2時間、利用者は2,000万人に上るそうです。また、Nielsen Thailand Samartphone Insightの調べによると『いいね! 』を押すことが好きな国民性もあり、ソーシャルメディアマーケティングは非常に重要視されています。」(三木氏)

タイでのSocial Catalog(TM)は、まずグローバルに展開している大手日系メーカーでの採用が決まり、現地のWeb制作会社であるE-mediaと共同で導入が進められた。これまでサイトを公開したあとでリサーチをかけてアンケートを集計していたところが、公開と同時にリアルタイムのコメントを見られたり、「いいね! 」の数を分析できたりするようになり喜ばれたという。

「従来のFacebookマーケティングは、公式ページ上のアクションを集計するものがメインでした。Social Catalog(TM)のように、公式ページとは違うところからエンドユーザーの声を拾うという仕組みは、タイでもこれまでにない新しい試みでした。それも採用の決め手になったようです。また導入検討企業も増えています。」(三木氏)

実際の導入に際しては、E-mediaがサイトデザインからバックエンドの連携開発までを一手に引き受けた。彼らは、Social Catalog(TM)をどのように受け止めているだろうか。

「タイのデジタルマーケットはまだまだ発展途上で、日本のソリューションは非常に魅力的です。博報堂アイ・スタジオは、デジタルメディアのプロフェッショナルであり、Social Catalog(TM)のような先進的な技術・サービスはきっと広まっていくと感じます」(Pradipat氏)

Social Catalog(TM)の導入にあたって、悩むようなことはほとんどなかったとPradipat氏は説明する。ソリューションを1度学んでしまえば対応は難しくなく、タイ語サイトへのローカライズも容易だったという。

「加えて日本式、博報堂アイ・スタジオ式の丁寧さやノウハウを学ぶこともできました。最初から完璧を目指す姿勢は、私たちにはめずらしく、当初はスタッフも戸惑いました。しかし、納品後の修正作業などが少なく済み、結果としてお客さまにも非常に満足していただけました」(Pradipat氏)

国境のないビジネスのためのサービス

それでは博報堂アイ・スタジオは、どのような戦略をもってクラウドサービスの提供を続けているのだろうか。

「私たち博報堂グループは、世界でもトップクラスのクリエイティブ力、ひいては"コミュニケーション"を作り出す力を持っているところが強みです。そこで、単なるクラウド機能を売るのではなく、コミュニケーションを改善するサービスを作ろうとしています」(十字氏)

また、FacebookやTwitterのようなソーシャルメディアや、スマートフォンやタブレットのようなデバイスが世界に広がっていることもポイントだという。

「私たちを取り巻く環境に、国境がなくなりつつあります。つまり、どこの国の企業も同じ課題を抱えやすくなっているのです。それを意識したサービス作りを心がけています」(十字氏)

2012年5月に、カタログや動画の表示、アンケート取得をiPad上で活用し接客・営業を支援するクラウドサービス「SSS(SMART SALES(R)) CATALOG」を博報堂DYグループ・スマートデバイス・ビジネスセンター(SDBC)と共同開発し、国内で提供していたが、グローバル展開する日系企業が現地の営業活動の分析も実現できるよう、今年7月には英語版がリリースされ、国外への提供も積極的に進めているところだ。



営業担当者が使用する資料はクラウド上で管理され、販売結果だけでなく資料の表示結果も分析できる

博報堂アイ・スタジオは、E-mediaのような現地パートナーとの協業を進め、ローカライズに関しても高度なノウハウを蓄積している。グローバル展開を進める日本企業が持つ、国内と同等のクオリティを保ちながら、現地に適したビジネスを行いたいというニーズへ的確に応えてくれることだろう。