さらに同氏は「Revelは、わが社が提供するコンシューマ向けの全ソフトが連携する、ひとつの"プラットフォーム"と呼べるかもしれない」と言及。Revelと連携するスマートフォン・タブレット端末向けアプリ「Adobe GroupPix(以下、GroupPix)」や「Adobe Photoshop Express(以下、Photoshop Express)」、「Adobe VideoBite(以下、VideoBite)」、そしてより高度な処理を行いたいユーザー向けの製品として、Mac/Windows用の「Adobe Photoshop Elements」や「Adobe Premiere Elements」を紹介した。

グループで気軽に写真を共有できる「GroupPix」

パーティや結婚式などのイベントの参加者同士で写真を共有するのに便利なアプリが「GroupPix」(iPhone用のみ)。グループに参加した人同士が気軽に写真を投稿して同期したり、コメントのやり取りを楽しめる。

「GroupPix」は、iPhoneユーザー同士が気軽に写真を共有できるアプリ。イベントに参加した人同士で写真を投稿し合ったり、コミュニケーションが楽しめる

グループに参加したすべてのメンバーが同じ写真を閲覧でき、写真の下部には撮影者の名前がクレジットされるので、誰が撮った写真なのかがひと目でわかるようになっている。グループの未参加者へは、同アプリのダウンロードリンクが記されたメールを送信でき、アプリを持っていない人でも簡単にグループへの参加が可能だ。既にアプリをインストール済みの人なら、パス(QRコード)をスキャンするだけでグループへの参加できる機能も用意されている。なお、同アプリで撮影した写真は、自動的に「Revel」のフォトストリームにも追加される仕組みだ。

写真を簡単にレタッチ&共有「Photoshop Express」

「Photoshop Express」(iPhone、iPad、Android)は、撮った写真を手軽にレタッチして見栄えをよくするアプリ。トリミングや色調補正、角度補正、傷の修復などが簡単に行えるほか、さまざまなエフェクトやフレーム付加、テキスト挿入などを行ったのち、FacebookなどのSNSでシェアでき、編集した写真はすぐに「Revel」にも反映される。同アプリについてジム モハン氏は、「非常に好評を得ているアプリで、5400万ダウンロードを記録している。これらのアプリ群のなかで最も配信の多いものだ」と述べた。

写真をレタッチして簡単に共有できる「Photoshop Express」。単なる修正だけでなく、凝ったエフェクトを適用したりフレームを付けて見栄え良く加工することも可能だ。ただしエフェクトやフレームの一部はアドオン形式(有料)だ

手軽なビデオ編集アプリ「VideoBite」

最後は、撮影したビデオを簡易的に編集できるアプリ「VideoBite」(iPhone用のみ)が紹介された。このアプリの特徴として、同氏は「ビデオ編集の知識がなくても扱える」という手軽さを強調。撮影したビデオを再生しながら必要な部分で「ハート」ボタンをタップすれば、そこだけが切り出されてつながるというシンプルなものだ。切り出したクリップの順番を並び替えたり、変わり目にトランジションを挿入できるほか、ビデオ全体の雰囲気を変更するエフェクトを適用することも可能だ。編集したビデオは、YouTubeやFacebookに簡単にアップロードできる。

カメラロールに保存されているビデオから使いたいものを選び、再生しながら必要な部分を右下の「・」ボタンをタップ。もう一度タップするとその間のフレームがクリップとして切り出される。トランジションを設定してシーンの変わり目をカッコ良くしたり、エフェクトを掛けて雰囲気を演出する機能もある。

SNSの写真加工機能との差別化は?

上記のように、同社は写真・動画を手軽に加工できるアプリを提供しているが、昨今はFacebookやTwitterなどのソーシャルメディアが提供する純正アプリやWebページ上にも、写真や動画の加工ツールが備わっている。Photoshop ExpressやVideoBiteの加工機能との差別化はどのように考えているか質問したところ、モハン氏は「Photoshop ExpressやVideoBiteで加工したものはRevelによってMacやiPhone、Androidなどすべてのデバイスで同期して反映されるが、Facebookなどで加工したものはそのソーシャルメディア上でしか反映されない。つまり、撮った写真が分散されるという問題を加速させることになるだろう」と述べた。Revelは写真の一元管理が重要なコンセプトとなるため、加工後の写真の管理まで包括して行うことにアドバンテージがあるということだ。

アプリの無料化によって収益はどこから?

アドビは以前まで有料だったいくつかのアプリ(スケッチブックアプリ「Adobe Ideas」、カラーテーマ制作アプリ「Adobe Kuler」など)を無料化しているが、マネタイズについての展望についても聞いてみた。

この質問について、モハン氏は「Photoshop Expressのアドオン課金(有料フィルターやフレーム)の売り上げが好調だ。VideoBiteについても将来的に同様の計画がある。ただし、アドオン課金に対して過剰に力を入れすぎることで"流れ"を失いたくはないので、バランスを取りながら考慮したい」と述べた。さらに「もうひとつのマネタイズの方法として、「Revel」のプレミアム版への移行を奨励していきたい」とも語った。

Elements製品はCreative Cloudとどう住み分ける?

「Adobe Photoshop Elements 11」(左)、「Adobe Premiere Elements 11」(右)

最後に、コンシューマ向け製品の中では最も高機能なMac/Windows向けソフト「Adobe Photoshop Elements」や「Adobe Premiere Elements」の今後について聞いた。同社は「Adobe Creative Cloud」の本格導入によってサブスクリプション方式へ移行し、「Adobe Creative Suite」までの永久ライセンス形式からは遠ざかっているが、Elements製品は現在も永久ライセンスでのパッケージ/ダウンロード販売を続けている。

今後はサブスクリプション方式へ一本化するのか?という質問に対し、「Creative Cloudはプロフェッショナルなクリエイター向けであり、コンシューマ向け製品を含めることは考えていない。ふたつのElements製品(Photoshop Elements/Premiere Elements)のサブスクリプション方式ではなく、永久ライセンス方式のみでの提供を継続する予定」と述べた。さらに「Elements製品のクラウド上での管理については「Revel」の利用を考えている」とし、Revelとの連携活用をあらためて奨励した。Revelを軸とした各アプリの連携によって、同社はデバイスやOSを選ばず、どんな場面でも写真を一括管理できるプラットフォームを構築していくようだ。