複数のデバイスを使い分ける「マルチ・スクリーン利用タイプ」の調査では、ユーザーの利用形態が大きく2種類に分けられた。

1つ目は、あるデバイスで始めた行動を、ほかのデバイスへと引き継いで利用する「引継利用」で、2つ目は、複数のデバイスを同時に利用する「同時利用」だった。

後者の「同時利用」では、デバイスごとに別々の目的で利用する「関連性なし」や、同一か関連する目的の「関連性あり」に分類できるという。

利用タイプで多いのは「引継利用」で、87%が複数のスクリーンを引き継いで検索などの行動を行っている。また、そのうちの96%は、起床~就寝の間に1つの行動を終了させているという。

引継利用の分析では、オンラインでのアクティビティ(行動)がスマートフォン起点となっているケースが多い。「情報検索」、「Webサイト閲覧」、「ショッピング」が軒並み70%を超える割合でスマートフォンから行動を起こしており、「Webサイトが見づらい」などを理由としてPCに引き継いで閲覧する割合が、60%台後半となっている。

アクティビティの多くはスマートフォンから

この利用動向調査は米Googleでも行われており、メディア接触率は日米で同様の傾向が見られる。その中で、スマートフォンがオンラインアクティビティとなっている割合は、日本の方が米国よりも5~10%程度高くなっているという。

ほかに、同時利用されているマルチ・スクリーンの組み合わせでは、スマートフォンとテレビの同時利用が72%を超えた。続いて、スマートフォンとPCの同時利用が57%、テレビとPCの同時利用が54%、テレビとタブレットの同時利用が38%となっている。

調査結果の紹介サイトを7月29日にオープン

Googleは、調査結果の発表に合わせて記者説明会を開き、Google 広告ソリューション推進本部 プロダクト&ソリューション スペシャリストの丹下 智貴氏と、Google プロダクトマーケティング マネージャーの小澤 未生氏が説明を行った。

Google 広告ソリューション推進本部 プロダクト&ソリューション スペシャリスト 丹下 智貴氏

Google プロダクトマーケティング マネージャー 小澤 未生氏

マルチデバイス利用動向調査は、Google Adwordsのエンハンストキャンペーン機能のリリースに合わせて行われた。この機能は、1つのエンハンストキャンペーンを設定するだけで、地域別、時間別、デバイス別にAdwords広告を自動入札できるというもの。

これまでは、地域別に50個設定したキャンペーンを2つの時間帯を分けて設定する場合に、更に50個設定する必要があった。それに加えて、PC向けとは別にモバイル向けキーワードの設定を行う場合、新たに100個のキャンペーンを設定する必要があり、合計200キャンペーンを設定しなければならなかった。

これがエンハンストキャンペーンの「地域ごとの入札単価調整」、「時間帯スケジュール設定」、「モバイルデバイス向け入札単価調整」によってまとめて設定できるようになった。

エンハンストキャンペーン提供の裏には、スマートフォンの普及がある。常時接続の環境がスマートフォンで普及したことにより、ユーザーがデバイスを利用している場所や時間帯を、Googleがおおまかに把握できるようになった。これによってユーザーの考えていることを推測し、Adwordsのマッチングがより高精度になったことで、細かい入札項目を1つの設定で完結できるエンハンストキャンペーンに繋がったわけだ。

これまでのキャンペーンは設定が煩雑だった

ユーザーの状況を容易に把握できるように

Googleでは現在、月間で1000億の検索クエリが存在し、そのうちの15%は、日々新たに検索されているキーワードだという。スマートフォンによって「思いつきの検索」をする人が多く、これによって新規の「検索クエリ」が多く生まれている。実際に、PCで思いつきの検索を行った人の割合が43%であるのに対して、スマートフォンでは76%に達するという。

日々15%の新規クエリが誕生

丹下氏は「時間帯、場所などで求められるキーワードは組み合わせによって大きく変わり、数百万のユーザーですら数十億パターンのAdwords表示がある」と話す。「ユーザーは関連性の高い情報だけではなく、求めている『答え』そのものも求めるようになった」と語り、Googleとして、検索技術の追求と、ユーザーからの期待に応える姿勢を強調した。

また、マルチデバイス利用に関する動向調査は、Googleが7月29日にオープンする「マルチスクリーンワールド」サイトで確認することができる。同サイトは、消費者が調査結果を楽しく見られるようにアニメーションを利用して制作されている。「タブレット端末でも確認でき、インタラクティブ性を重視した」(小澤氏)というサイトをぜひ確認してほしい。

調査結果を特設サイトで確認できる

アニメを利用した楽しめるサイトに