「グランプリ」はドミノ・ピザ ジャパンの「Domino's App feat. 初音ミク」が受賞した。アルバイト従業員の中から3つのチームを作って、初音ミクを使ったPVを作成。注文用のスマートフォンアプリを初音ミク仕様にリニューアルした上で、発注機能に加えて初音ミクとの撮影機能や、作成したPVの閲覧機能なども提供した。またキャンペーン期間中に初音ミクをプリントしたピザボックスを採用し、アプリからボックスを撮影するとバーチャルライブを楽しめる仕掛けも組み込むことで、キャンペーン開始から1カ月で当初目標の5倍を超える5万件の注文を獲得した。

ドミノ・ピザ ジャパン「Domino's App feat. 初音ミク」

PARTY クリエイティブディレクター 京都造形芸術大学 情報デザイン学科の教授 伊藤直樹氏

トロフィー授与も担当したPARTY クリエイティブディレクターで京都造形芸術大学 情報デザイン学科の教授である伊藤直樹氏による審査員講評が行われた。

「モバイル広告は世界の最先端にある分野だと思う。オウンドメディアを柔軟に変えているものが特に興味深い。日本コカ・コーラやドミノ・ピザ ジャパンの事例では商品パッケージを変化させているが、これは企業にとっては英断。こういうことができる頭の高い企業というのが精度の高いコミュニケーションができるのではないかと思う。コミュニケーションの精度が上がった年。ますます世界の中でもトップレベルで精度をあげて質の高いコミュニケーションが実現できているのが日本ではないだろうか」と語った。

「自分が最高に楽しみにながら話題を作る」ドミノ・ピザ ジャパン

「ベストイノベーション」と「グランプリ」を受賞したドミノ・ピザ ジャパンから、マーケティング部 執行役員 マーケティング部長である池田健二氏が登壇。受賞した2作品の成り立ち等について語った。

以前から特定の日1時間だけ働くと時給250万円になるアルバイトを1人だけ募集する、宇宙への出展計画を発表するなど直接的な広告ではなく話題を提供することでメディア露出の機会を作ってきただけに「広告を作るのではなく話題を作ることをかなり意識している」という。「ベストイノベーション」を受賞した「世界最短のタイムセール」は絶妙な難しさで話題となり、数回実施した1年間の合計でFacebookのファン数は2.5倍になったという。

同じく話題を作った「Domino's App feat. 初音ミク」は、若年層を取り込むことを目的とした取り組みだ。ドミノ・ピザ ジャパンはネット注文の割合が50%を越えている。そのうちスマートフォンからの注文構成費が2012年3月時点では16.1%だったが、2013年3月には28.0%と大きく伸びているのが特徴だ。しかし同業他社と比較すると若者受けというイメージが低かったことから、10代に人気のある初音ミクを使ったキャンペーンを思い立ったのだという。

ジョークを交えながら軽妙な口調で講演を行った池田氏は「企画に愛がなければ伝わらない。まずは自分が最高に楽しむことが大切です」と語り、「Domino's App feat. 初音ミク」の機能強化や、アプリから注文した場合に限って全品39%オフになる「ミク割」など新たなキャンペーンについても発表した。

ドミノ・ピザ ジャパン マーケティング部 執行役員 マーケティング部長 池田健二氏