独自OS「MOONPhase」を搭載

「enchantMOON」本体

この製品は、これまでにない使用感を実現するため、Android 4.0をベースとして開発された独自設計のOS「MOONPhase」を採用している。最大の特徴は、手書き文字の認識をベースにUIが構築されているということ。つまり、「手書きで何でもできる」ということだ。

調べたいことがあれば、画面に文字を書いて検索する。検索結果のページを線で囲むと、その部分を切り取ってメモに貼り付けることもでき、まるで雑誌を切り抜いてスクラップブックを作るかのように使うことが可能だ。また、カメラを使う時には、"camera"と書いてから円で囲むことでカメラが起動するなど、手書き文字による指示でアプリケーションが立ち上がる。これまでのタブレット端末には必ずあった、アプリのアイコンやソフトウェアキーボードを使わない操作が新鮮だった。

カメラはディスプレイの正面と、ハンドル側の計2カ所に搭載されている。ハンドル側のカメラは、授業中などenchantMOONでメモをとっている際に、本体をかかげることなく、目の前にある黒板やホワイトボードが撮影できる位置に取り付けられている

手書き+デジタル=enchantMOON

製品担当者は、「手書きは思考のためのプロセスである、と我々は考えています」と断言。同社はアプリ開発などを手がけているため理系の人間が多いそうだが、会議のメモは多くの人が手書きで取っているという。その理由として、パソコン上で文字装飾や数式や楽譜の作成をするのが難しいことを挙げ、手書きの方がより多くの情報が一度に、素早く書けることを強調した。

入力解像度(ppi)が高いので、文字だけでなく絵も滑らかに作画できる。字も絵も、JPG画像でバックアップを取ることができる

指でなぞると、軌跡に青くキラキラしたエフェクトがかかる

チュートリアルに従って文字を書いてみた

こういった手書きの持つ利点に、パソコンなどのデバイスがもつ「検索性」や「共有力」を加えたらどうなるか、と考えたのが、このデバイスが生まれたきっかけだという。紙のノートのように扱えて、かつ書いた情報を検索可能な状態で扱うために、このデバイスが作られたのだ。

安倍吉俊がデザインした"ハンドル"は、タブレットを持つために使用したり、角度をつけて卓上に置いたり、さらには立てて置くこともできる。ハンドルの両端には一眼レフカメラ用のストラップをつけられるため、肩からかけて持ち歩くことも可能

「enchantMOON」専用のデジタイザー搭載ペン

未来のガジェットがついに発売、予約開始も決定

これまで大手メーカーが生み出してきたタブレット端末とは根本から異なり、筐体からOS、インタフェースまで、一貫した設計思想で作られている。アプリケーション開発を主なフィールドとして活躍してきたUEIが、初のハードウェア生産にトライした経過報告は公式サイトに詳しい。普段あまり気に留めることのない、製品が出来上がるまでの過程がつぶさに語られている。

紆余曲折を経て、つい先日、7月7日に発売されることが決定した「enchantMOON」。発売日からは、予約分の出荷と同時に、次回予約の開始も開始される。完全予約販売の"未来のガジェット"を手に入れたい人は、今のうちから心の準備をしておいた方がよさそうだ。

次回は、「enchantMOON」のもうひとつの"柱"であるプログラミング機能や、「enchantMOON」という名前の由来などに迫っていく。こうご期待。