「探しあう検索」をコンセプトに、2009年7月からスタートした検索サービス「NAVER」。その主要サービスの1つである「NAVERまとめ」のPV数が、2012年12月に10億/月を達成し、1月末には12億2800万(UU4000万)と伸ばしている。

「NAVERまとめ」は、インターネット上のあらゆる情報の「収集・選別・整理・共有」ができるキュレーションプラットフォームサービスである。情報をまとめたことはなくても、まとめられた記事を閲覧した経験のある人は決して少なくないだろう。

オープンからわずか3年で12億PVという脅威の成長を遂げた裏で、運営側はどのような工夫を積み重ねてきたのか。NHN JAPANウェブサービス本部サービス企画1室室長の島村武志氏に、今日までの軌跡を振り返ってもらいながら、運営方針や転換点での施策を聞いたので、その様子をお伝えしよう。

サービスのコンセプトとスタート当時の苦悩


――「NAVERまとめ」はどのようなコンセプトから始まったのでしょうか。

NHN JAPANウェブサービス本部サービス企画1室室長の島村武志氏

島村 : 2009年7月にサービスを開始し、そのときのコンセプトは「既にある検索では解決しきれないことを解決する」というもので、このコンセプトを体現するために生まれたのが「NAVERまとめ」です。検索した人が、検索した先に、キーワード的な情報ではなく感覚的な情報を見つけられるようにしたいと考えました。

――具体的にはどのような情報にたどり着くことをイメージされましたか。

島村 : 例えば、カメラを探すにしても初心者とプロではニーズが違いますよね。しかし、検索エンジンでは、その違いを踏まえてWebサイトに誘導するのは難しいと言えます。

また、例えば、『美味しい、ラーメン』で検索した場合も、検索エンジンは、あくまで両方のキーワードが含まれているコンテンツを探し出すというのが基本です。アクセス数や被リンク数など、さまざまな要素も加味されていますが、それでも「美味しいラーメン」を直接紹介してくれるわけではありません。

「NAVERまとめ」では、キーワード的な情報だけでなく、人でしか判断できない情報――美味しいとか、感動したとか、でコンテンツの有意さを判定できるようにしたいと思いました。単純にアクセス数が多いとか、被リンクが多いといった情報だけではなく、もっと人にしかわからない感覚をネット上でも感じられるようにしたいと考えたんです。

――「NAVERまとめ」の企画そのものはスムーズに進んだのでしょうか。

島村 : 企画から実際に始まるまではとても苦労しました。「NAVERまとめ」という形ができあがるまでも、「企画→テスト→修正→企画」を何度も繰り返して。NHNの看板を背負っているので失敗はできないというプレッシャーは強く、修正を重ねてきましたが、できあがったものを前にしても、「これなら絶対に勝てる」という感覚は沸かなかったですね。途中からわからなくなってしまい、「とりあえずリリースして、ユーザーに問おう」という気持ちで世に放ちました(笑)。

――サービス開始時から順調にPV数やUU数は伸びていったんでしょうか。

島村 : 当然ですが、最初はユーザー数も、まとめの数も少なく苦労しました。まとめの数が増えないと閲覧者も増えないし、閲覧者が増えないとまとめ作成者も増えませんので、その状態を脱するためにあがきました。しかし、検索の概念としては新しいものだと実感していたので、最初の1年は我慢して試行錯誤を続けましたね。

そうこうするうち、徐々に面白いコンテンツが増えてきて、それに伴い閲覧者も増加していきました。当初はマーケティング施策もいくつか行い、著名な方にまとめページを作っていただいたり、イベントを開催したりといった強化も行いましたが、それで劇的にコンテンツや閲覧者が増えたということはありませんでした。むしろ、まとめページの作成機能を強化したときのほうが効果が高かったですね。

少しでもまとめページを作りやすくするという考えで機能強化を続けてきた結果、コンテンツが増えていったという感覚です。