「携帯電話手当」制度の見直しがきっかけで導入した「0035ビジネスモード」だが、結果的に大幅なコスト削減につながるなど、様々な効果を生むことになった。会社が負担する通信費コストは、ひと月あたり約80万円、年間に換算して約1,000万円のコストダウンとなった。これは「0035ビジネスモード」の導入によって、会社支給の携帯電話の基本料が不要になったことが大きい。
「0035ビジネスモード」の基本料は500人までは月額3,150円(税込)。つまり、最大500人で利用すれば、1人あたりの基本料はわずか6円程度という計算になる。会社支給の携帯電話の場合、たとえ通話料が0円であったとしてもその端末ごとに基本料は支払う必要があるが、「0035ビジネスモード」であれば、その端末については基本料がかからないことになる。
利用者の利便性が向上
さらに、1台でプライベート用とビジネス用の2契約を使い分けるサービスから「0035ビジネスモード」に変更したことで、プライベート用の通話にもかかわらずビジネス用の電話番号から誤って発信してしまうことを減らすこともできたという。
「1台でプライベート用とビジネス用の2契約を使い分けるサービスの場合、ビジネス用なのかプライベート用なのか、注意を払って電話帳などを選ぶ必要があります。そのため、プライベート利用なのにビジネス用の電話番号から発信してしまっているケースもありました。しかし、『0035ビジネスモード』では、例えばスマートフォンの場合なら、電話帳から相手先を選択すると、どちらのモードで発信するかを選ぶ画面が表示されますので、切り分けが簡単です」(千野氏)
またフィーチャーフォンの場合も、「003543」を相手先の電話番号の前に付けてダイヤルしない限りビジネス通話とならないため、やはり誤発信の削減効果があったということだ。
その他、1台でプライベート用とビジネス用の2契約を使い分けるサービスは対応している機種が限られていたが、「0035ビジネスモード」は、使える携帯電話会社や機種に制限がないため、同サービスへの切り替えによって、「念願のスマートフォンに機種変更ができた」といった声も上がっており、社員からの評判も非常に良いようだ。
管理者の運用も簡単に
一方、携帯電話を管理する総務人材開発部にとっても、「0035ビジネスモード」は利用しやすいものだったという。
「携帯電話手当に代わる新たな仕組みを導入する際には、社員ごとに利用状況が把握できることや、管理がしやすいことが条件でした。『0035ビジネスモード』は、Web上で簡単に利用端末の登録や削除が行え、個人ごとの明細もWebで確認できます。明細は、CSV形式でダウンロードしてExcelで管理することもできるので、非常に使いやすいサービスだと感じました」と小池氏は語る。
利用する端末については、その都度NTTコミュニケーションズに申請する必要はなく、管理者がWeb上のカスタマコントロールを使って登録・削除するだけでよい。
実際の作業を担当する総務人材開発部 小柳美菜子氏も、「一人で3回線まで登録できるので、機種変更等で利用する電話番号の変更申請があった際にも、切り替えるタイミングを考えながら作業する必要がありません」と語る。
毎回「003543」を付けて電話するのは面倒だと感じる人がいるかもしれないが、iPhoneやAndroid端末向けには専用アプリが用意されているほか、フィーチャーフォンについても、端末内蔵のプレフィックス機能を利用すれば、「003543」を毎回入力する必要はない。
「導入当初は、専用アプリやプレフィックス機能の利用方法に関する問い合わせが数多く寄せられましたが、NTTコミュニケーションズが用意している設定マニュアル等を参考に利用方法を周知したところ、今では質問はほとんどありません」(小池氏)
導入から5カ月ほど経過した現在は、「003543」の発信がしっかり現場に浸透している。
最近は社員個人の端末を業務に活用する「BYOD」(Bring Your Own Device)が注目されているが、具体的にどのようなサービスを利用して通話料の公私分計を実現すればいいのか悩んでいる企業も多いだろう。そんな企業にとって、単に公私分計が実現できるだけでなく、端末の管理稼働やコスト削減に大きく寄与し、社員の満足度も高めてくれる「0035ビジネスモード」は、一つの有効な解決手段ではないだろうか。