ピーチ・ジョンに評価された機能とサポート体制

こうして2011年7月、ピーチ・ジョンでは東京本社と新たに耐震化を施した仙台のサーバルームに12TBのReadyNAS Pro 6を各1台ずつ設置。仙台側をDRサイトとする体制を構築した。

ピーチジョンのバックアップ体制図

現在、社内ユーザーが使うクライアントPCなど200超に加えて、12台ほどの仮想マシンと複合機がReadyNAS Pro 6に接続されている。NASはすべてRAID5による冗長化構成だ。バックアップは、ReadyNAS Pro 6の機能を使い、双方のサイト間で日次で夜間に実施。部門フォルダごとにバックアップをとっており、現在のバックアップジョブは9から10ぐらいだという。

ピーチ・ジョン情報システム課の湯田知之氏

ピーチ・ジョン情報システム課の湯田知之氏は、これまでReadyNAS Pro 6を使用してきての感想をこう話す。

「非常に細かいところまで調査してから導入しているので、使い勝手の面で苦労したことはほとんどありません。バックアップについても、付属するアプリケーションの機能がとても高く、しかもGUIで簡単に設定できるため、専用のアプリケーションを別に用意する必要もありませんでした。また、カタログ値の約5倍にあたる250台もの機器から接続しても何ら問題なく使えているので、その信頼性の高さには一目を置いています」

ReadyNAS Pro 6はGUIだけでなくコマンド操作にも対応している。湯田氏のようなネットワークインフラに詳しい技術者にとってはそれも魅力の1つだという。

「バッチを組むこともあるので、コマンド機能は重宝しています。ただし、将来的に後継者に業務を引き継ぐようなことも考えなければなりません。後継者がどういった技術者になるかは想定できませんので、その観点では、ReadyNAS Pro 6の優れたGUIはありがたいですね」(湯田氏)

ちなみにReadyNAS Pro 6は、NFSにもiSCSIにも対応している。ボリュームを丸々バックアップしたり、別の筐体へと移したりするような場合には、 iSCSIが早いし便利だ。一方のNFSでは、ファイル単位でバックアップがとれるうえ、rsyncを使って差分コピーを行うといったことも簡単である。

「現在当社ではNFSを使っていますが、安価でありながら、NFSとiSCSIの双方に対応する点は大きな特徴でしょう。vnicにも対応しているので、ユーザーに煩雑な設定作業を強いることなく、ストレージ統合を進められます。さらに、仮想マシンからのアクセスにも対応しているので当社の利用形態に合っていました」と湯田氏。

そして、安住氏と湯田氏が口を揃えて評価するのが、ネットギアジャパンの手厚いサポート体制である。

安住氏は言う。「震災の時の経験から、メーカーがきちんとサポートしてくれないと、いざという時にとても厳しい状況に立たされることを身を持って知りました。ネットギアジャパンは、サポートのレスポンスがとても素早く、また高度に技術的な問合せであっても専門知識を持ったスタッフが適確に対応してくれるなど、コミュニケーションが非常にやりやすいと感じています」

ピーチ・ジョンでは、ネットギアジャパンのサポートサービスのうち、問題発生時にサーバルームまで技術者が来てくれるオンサイトサポートと、代替機を先送りしてもらい故障機を送るクリックデリバリー(センドバック)の両方を活用している。

「私が面倒を見られる東京の拠点に関しては、代替機を配送してもらえれば十分です。配送と言っても、センドバック方式で先に代替機を送ってもらえるので、ダウンタイムを最小限に抑えることができます。一方で、仙台のデータセンターに関しては、そちらに移動するまでに時間もコストもかかります。仙台のサポートをオンサイトでお願いできるのはありがたいかぎりですね」と湯田氏は笑顔を見せる。

ピーチ・ジョンでは、新たに2台のReadyNAS Pro 6を購入済みで、近々東京と仙台に1台ずつ追加設置する予定だ。表面的な情報に囚われずに、災害時に本当に必要なことに重きを置いた同社の取り組みは、ストレージシステムだけでなく、あらゆるシステム、そして業務のBCP/DR対策を考えるうえで貴重なヒントを提示していると言える。