そのブランド性の高さを強みに女性用インナーウェアの通信販売ビジネスを展開するピーチ・ジョン。同社は1994年の設立以来、若い女性を中心顧客として、カタログ誌、そしてネットによる通信販売、直営店での販売を手がけ成長を続けてきている。

ピーチ・ジョンでは、現在、BCP(事業継続計画)とDR(ディザスタリカバリ)の観点から東京にある本社と、仙台市内にある支社の業務で発生する各種データを、それぞれの拠点のサーバルームに設置されたNAS(Network Attached Storage : ネットワークアタッチトストレージ)で相互にバックアップを行っている。

NASには、ネットギアが提供する「ReadyNAS Pro 6」を導入。製品選定の背景には、東日本大震災で被災したことによる極めて現実的な教訓があった。

ピーチ・ジョンにおけるBCP/DR対応ストレージシステム構築の要件

  • (震災の教訓から)持ち運べるタワー型NAS
  • 東京と仙台の双方で日次バックアップ
  • 250台が接続しても安定稼働
  • いざというときに頼れる、技術に明るいサポート
  • サポートも含めた、総合的なコストパフォーマンスの高さ

震災でストレージシステムの刷新が緊急課題に

ピーチ・ジョン経営企画部情報システム課課長の安住祐一氏

震災以前、ピーチ・ジョンでは東京、仙台の拠点でそれぞれファイルサーバとして使う複数のストレージシステムを運用していた。ストレージ容量が足りなくなるごとに順次機器を継ぎ足してきた結果、2010年頃には運用に相当な手間がかかる状況になってしまっていたという。また、全てのストレージのバックアップはできていなかった。

当時ストレージステムとして使用していたのは、サーバとストレージ機器合わせて約10台、合計容量は10TB程度だった。保管されている主なデータは、商品画像や商品台帳、Web画像、そしてExcelやWordのファイルといったものである。

ピーチ・ジョン経営企画部情報システム課の課長、安住祐一氏は次のように当時を振り返る。

「機器も老朽化していたため、どこかのタイミングでストレージシステムをリプレースしないと、いずれはメンテナンスが大変なことになるという危惧がありました。そこで、まずはどこにどんなファイルが保存されており、それぞれがどのような使用頻度でどれぐらいのペースで容量が増えているのか、などを調査しようということになりました」

こうしてストレージシステムの刷新に向けて動き出した矢先、東日本大震災が発生する。

たまたま震災直前の2011年2月に、ピーチ・ジョンでは総務・経理・情報システムなどの機能を仙台から東京の本社へと移管していたものの、仙台市宮城野区にある倉庫とコールセンター、そしてそこに置かれたサーバなどが深刻な被害を受けてしまった。

同じ場所にあったストレージシステムもしばらく使用できない状況に陥る。2~3ヵ月かけて、ようやくのことで復旧した後も、時間が経つと突然動かなくなる機器が出てくるなど、運用は混乱を極めた。

こうした経緯を踏まえてピーチ・ジョンは、BCPとDRのあり方を改めて見つめなおすとともに、費用対効果を踏まえた、自社にとって最適なストレージシステム構築へと乗り出したのである。

災害発生時に備えて"持ち運べる"ストレージを!

ピーチ・ジョンでは、2009年に基幹システムをデータセンターに集約し、2010年にはサーバ統合と並行してその他の社内システム、ストレージのクラウドへの移行も検討し始めていた。しかし、そのプランは震災で一旦中断する。

「震災後に改めて当社のシステム全体の方向性を考えましたが、通常の業務アプリケーションなどは外部(クラウド)に出すことができても、ストレージは現実ではないと判断に至りました。業種柄、画像データなど非常に大きな容量を扱うため、ストレージまでクラウドに移すとコストが大幅に嵩んでしまうのです」(安住氏)

自社に新たなストレージシステムを構築するに当たって、具体的なストレージ機器の検討を開始した同社が製品選定のポイントとしたのは、機能、信頼性、コスト、そして「いざという時に手で持って避難・移設し業務を再稼働できること」(安住氏)であった。

「震災で痛感したのは、業務を復旧するためには、電気と人、ネットワークそしてデータが必要だということ。拠点間バックアップを実施したうえで、いざという時に我々のうちの誰かがデータごとNASを抱えて安全な場所に避難するようにすれば、事業の再開・継続はできると考えました」と安住氏は説明する。

ReadyNAS Pro 6シリーズ。374×375×285(mm)と非常に小型

これらの要件を満たすストレージ機器として最終的に選ばれたのが、ネットギアジャパンが提供しているタワー型NAS「ReadyNAS Pro 6」シリーズである。

「選定の決め手となったのは、豊富な機能をカバーしており多くの企業での導入実績があることと、それにもかかわらず、価格がラックマウント型NASに比べるとはるかに低いことですね。ラックマウント型製品のわずか3分の1か4分の1程度のコストで、大容量のストレージを手に入れることができるというのは我々にとってとても魅力的でした。それと5Kg前後という軽量さも大きなポイントとなりました。いざというときに持ち運べないといけませんからね。また、より廉価なコンシューマー向け他社製品と比べた場合にも、安定性の高さと充実したサポートでReadyNAS Pro 6がはるかに上回っていました。実際にネットギアジャパンに問い合わせてみると、親身になってこちらの要件について対応してもらえましたから」と安住氏は選定理由を語る。