-- NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューションという社名にはどんな思いを込めたのですか?

塚本 まわりから社名が長すぎるとは言われるのですが(笑)、この会社がやる仕事を正確に伝えたかったというのがこの社名とした最大の理由です。つまり、オンライン・マーケティングを、プロダクトとして提供するだけでなく、ソリューションとして提供していく会社だということを示したかったのです。

例えば、解析ツールをASPの形で提供していくプロダクト型サービスの売り上げが全体の半分だとしても、残りの半分は、分析ツールを活用して導き出したデータをもとにコンサルティングを行っていくというようなソリューション型ビジネスにしていきたい。もちろん、システム構築といった点でも事業を推進していきます。ここには、現在50人規模の社員がおり、これからも継続的に取り組んでいくことになります。

-- ソリューションという点では、ビジネスコンサルティングの領域まで含めるのですか?

塚本 現時点ではそこまでの体制が整っていませんが、将来的には踏み込んでいきたいと考えています。

-- 事業計画ではどんな成長曲線を描いていますか?

塚本 スマートフォンやソーシャルメディアの市場は年率30%以上の成長率を維持していますから、それを上回る成長を遂げていきたいと考えています。自分のペースで事業を進めていたら、生き残ることはできない市場ですから、事象の流れに遅れないように、積極果敢に攻めてきます。当面の目標として、2016年度には、100億円の売上高を目指します。

-- 成長の原動力は何ですか?

塚本 ひとつは、優れた日本語解析技術を活用し、ソーシャルBazzをリアルタイムで解析する「ビッグデータ解析」ということになるでしょう。また、このビッグデータ分析を生かしたソーシャルCRMの領域でもナンバーワンのポジションを確固たるものにしたい。来年のいまごろには、ソーシャルCRMでナンバーワンと宣言できるようになりたいですね。

-- 塚本社長の経験は、NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューションの経営にどう生かされますか?

塚本 NTTはインフラの会社であり、品質の高いサービスをきちっと提供していくという姿勢が根付いています。それに対して、マイクロソフトは、ソフトウェアの会社であり、マーケティングにも長けた会社です。そこでは、創造性が求められます。これはどちらも重要な要素ですが、なかなか両立しないという面もあります。こうした双方の経験をうまく化学反応させて、両方のいいところ取りしたビジネスを展開していきたいと思っています。オンライン・マーケティング・ソリューションに関するビジネスは、この2つが同居しなくてはならない。それをいかに両立させるかというバランスが重要なポイントではないでしょうか。

新会社の社長に就任した初日には、社員に向けて、「外に向って仕事をすること、お客様にきちっと価値を提供することが大切だ」といいました。お客様と市場を見てほしいというのが私の願いです。私は、一度、NTTグループの外に出て、いろいろ苦労してきましたが(笑)、その経験があったからこそ、社員にはもっと外を向いてほしいということがいえるのだと思います。もうひとつは、全社員の3分の2がプロパー、3分の1がNTTからの出向というなかで、違うもの同士がぶつかったことによって起こる効果にも期待したいと思っています。違う経験をしてきた人たちが、お互いを認識し、尊重することで、会社を活性化することに期待しています。

-- 日本の企業では、まだまだソーシャルメディアを活用したマーケティングに踏み出せない企業が多いようですが?

塚本 それは認識しています。ソーシャルメディアは一歩対応を間違えば、怖いものになるという恐れが企業の担当者のなかにはありますし、もう顧客の声は十分聞いているから大丈夫だという声もあります。しかし、ソーシャルメディアの声を実際に聞いてみれば、いままで知らなかったことがわかり、できなかったことができる。米国の先進企業は何度も試行錯誤を繰り返しながら、ソーシャルメディアを戦略的に活用できる段階に入ってきました。日本の企業も、いま、同じ道を歩んでいるといえます。そこに向けて、我々はぜひお手伝いをしたいと考えています。いま、日本の企業には元気がないといわれます。日本の企業が元気になるために、オンライン・マーケティング・ソリューションの領域からぜひお手伝いをしたい。そこに当社の役割があると考えています。