ReadyDATA 5200の主な機能
ReadyDATA 5200にはさまざまな機能が備わっているが、ここでは特に以下の2点に焦点を絞りたい。
- 高度なデータ管理機能
- ネットワークサービス
高度なデータ管理機能
ストレージ容量が大容量になると、データを失わったときのダメージは計り知れない。ハードディスクの故障でデータが失われてしまわないように、少なくともRAIDによる冗長化が必須だろう。
ReadyDATA 5200では、ハードディスクを組み合わせてボリュームを作成し、ボリューム単位でRAIDを構成することができる。サポートしている方式はRAID 0/1/5/6/10だ。
ここで簡単にRAIDについておさらいしておこう。
RAID 0は、データを複数のハードディスクに同時並行で書き込んでアクセスを高速化できるが、ハードディスクが1台でも故障するとボリューム全体のデータが失われてしまうので冗長性は一切ない。RAID 0を利用するのは、高速なアクセスを重視するボリュームを作成するときに限られるだろう。
対してRAID 1は、同じデータを複数台のハードディスクに書き込む。ボリュームを構成するハードディスクのうち1台が正常であればデータは失われないが、容量の利用効率が悪くなってしまうというデメリットもある。
一方、RAID 5は、データを分散して書き込むのと同時にパリティも書き込む。ボリュームを構成するハードディスクが1台故障しても稼働することができ、データは失われない。
そして、RAID 6は、パリティを2重に生成して、ハードディスクが2台故障しても稼働できる仕組みになっている。
また、RAID10はRAID 1とRAID 0を組み合わせてもので、RAID 1でミラーリングしたミラーセットに対して分散してデータを書き込む。
次の図は、4台の1TBのハードディスクでボリュームを構成した場合に、各RAID方式の容量と許容できるハードディスク故障についてまとめたものだ。
ボリューム単位で適切なRAIDを構成することで、柔軟なハードディスクの冗長化ができる。
さらに、RAID以外にも以下のようなデータ保護機能を備え、万が一の場合のデータの保護にも万全な体制を取ることができる。
- 無制限のスナップショット機能 : 定期的または手動でスナップショットを取得して、過去のデータを取得することが可能。スナップショット取得の回数には制限がない。
- クラウド対応レプリケーション : ReadyDATA間でのブロックレベルでのレプリケーション(複製)が可能。インターネット経由でも利用可能。
また、大容量のデータボリュームを管理するためのツールも充実している。
- インスタントボリューム作成・拡張 : 必要な時に必要な分だけボリュームを迅速に拡張する。従来長時間かかっていたディスク増設時のRAID再構築がほぼ瞬時に完了
- シン・プロビジョニング : 物理ディスクに依存せずにボリュームの容量を割り当てることで、ストレージの利用効率を向上させる。
- データの重複排除、圧縮 : 同一内容のデータブロックは全体で1コピーだけを格納する。バックアップファイルなどの容量を削減できる。
ネットワークサービス機能
ReadyDATA 5200のネットワークインタフェースは、前述のように10GbE×2および1GbE×2である。複数のネットワークインタフェースで冗長化および負荷分散が可能で、IEEE802.3adのリンクアグリゲーションに対応している。
そして、物理的なネットワークインタフェースに加えて仮想的なネットワークインタフェースを作成することも可能だ。仮想的なネットワークインタフェースはそれぞれ固有のIPアドレス、MACアドレスを持ち、VLANに対応づけることができる。また、MTU(Maximum Transmission Unit : パケット上限値)サイズやスロットルの設定で仮想インタフェース上でのファイル転送のパフォーマンスを制御することもできる。
つまり、ReadyDATA 5200は物理的な配置にとらわれずに論理的なネットワーク(VLAN)に配置できるということになる。
このような仮想インタフェースを通じた柔軟なネットワーク接続によって、ReadyDATA導入のための既存のネットワーク構成の変更を最小限に抑えられるだろう。
* * *
以上、ReadyDATA 5200の特徴と主な機能についてごく簡単に紹介した。同製品は、今後、大容量でハイパフォーマンスなストレージ環境を構築するための魅力的な選択肢になってくるだろう。
しかし、ReadyDATA 5200はエンタープライズクラスの性能を備えた製品であるだけに、機器の設定や管理などが複雑になってしまうのではないかと心配する方もいるかもしれない。次回以降で、ReadyDATA 5200の具体的な設定や管理について紹介する予定だ。