圧倒的な機能を持つ「TS-EC1679U-RP」

まずは「TS-EC1679U-RP」が備える特徴的な機能から確認していこう。同製品はTurboNASシリーズと同じく一般的なNASとして運用できるのはもちろん、前述したパワフルなハードウェアスペックで、iSCSIを用いたIP-SANとしても運用可能。また、VMwareやCitrix、Hyper-Vといった仮想化用ソフトウェアのストレージとしても活用できるため、仮想化サーバー用NASとして運用も行える。仮想化サーバーの規模や使用者数によって異なるものの、ネットワークパフォーマンスを高める場合はオプションの10Gbイーサネットカードを追加したいところだ。

同製品の特徴には、高性能かつシンプルさも数えられる。TurboNASシリーズに触れたことがある方ならご存じのとおり、シンプルなきょう体に数々の機能を備えながらも、SSL接続やIPフィルタリング、ポリシーベースの自動IPブロッキングといったセキュリティ機能を用意。ストレージに対する暗号化も可能なため、物理的な盗難にも十分対応できる。

特筆すべきは管理コストを軽減できるWeb管理ページ。セットアップ手順はWebブラウザー上のウィザードで進め、各種設定もそのままWeb管理ページから行うため、ベンダー独自の癖があるツールを使う必要がない。また、NASの最新状態を把握できるようにSMSや電子メールによる通知機能も用意されているので、昨日今日システム管理者になった方にでも容易に扱えるだろう。もちろんネットワーク管理者にはおなじみのSNMP(Simple Network Management Protocol)経由でリアルタイム管理することも可能だ。

「TS-EC1679U-RP」のWeb管理画面。JavaScriptでリッチなユーザーインタフェースを実現している

設定項目は内容に応じてカテゴリー分けされている。また、左下ペインにキーワードを入力すれば、目的の設定項目を直接呼び出すことも可能だ

データの移行もネットワーク経由だけでなく、USB 3.0やeSATAで取り込むことが可能だ。本来は外付けHDDへのバックアップ機能として用いるものだが、Linux系ファイルシステムであるEXT3/4はもちろん、WindowsのFAT32やNTFS、Mac OS XのHFS+もサポート。各OSのファイルシステムに対応しているため、既存環境から「TS-EC1679U-RP」への移行も簡単だろう。

今回「TS-EC1679U-RP」の性能を検証するにあたり、5台の1TB(テラバイト)HDDをRAID 6として初期化したが、驚くべきはその構築スピード。フォーマットからRAID 6を構築するまでに5時間程度で完了したのだ。以前、ARMプロセッサを搭載したTurboNASで4台のHDDをRAID 5化したが、丸一日かかったように記憶している。TurboNASのRAID実装はソフトウェア方式を採用しており、構築処理はプロセッサの能力が大きく左右するだけに、Xeonプロセッサの能力が遺憾なく発揮されたのだろう。

「TS-EC1679U-RP」でiSCSIターゲットサービスを有効にすれば、Windows Server 2008 R2側でターゲットを簡単に検出できる

今回はIntel Core i7を搭載したノートPC上で稼働するWindows Server 2008 R2 Service Pack 1と、「TS-EC1679U-RP」をカテゴリー6の2メートルLANケーブルで直結。iSCSIターゲットを有効にし、OS上のディスクとしてマウントしたものをCrystalDiskMarkで測定することにした。また、ハードウェアの性能を正しく検証するため、Jumbo Frameは9000に変更している。

下記の画面がその結果だ。RAID 6はその構造からHDDが増えるほどパフォーマンスが向上する特徴を持つため、コンピュータに接続している単体HDDよりも高い数値が出るのは当たり前。前述のとおり、取り付けたHDDはSATA300のため(「TS-EC1679U-RP」はSATA600)、本来のパフォーマンスに至っていないのは容易に想像できる。また、「TS-EC1679U-RP」の能力をフルに引き出す10Gbイーサネットカードを用いなかったことと、標準環境と最適ではない状態を踏まえると十分の出来と言えるだろう。

RAID6にiSCSIで接続した結果。RAID6で100MB/s越えとなった

こちらはCIFS経由のベンチマークテスト。パフォーマンスはやや落ちるが実用的なレベルだ

ベンチマーク実行時のCPU使用率。負荷が低いため、多くのユーザーが同時アクセスしてもパフォーマンスダウンは最小限で済むだろう

ここでTurboNASシリーズに関しても言及しておこう。同シリーズが優れているのは、個人/SOHO向けの製品から今回紹介した「TS-EC1679U-RP」のようなエンタープライズ向け製品まで、一貫したWeb管理ページを用意している点。パフォーマンスの差は大きいものの、機能的な差はほとんどないため、個人用に安価なTurboNASを購入して検証を行い、実際の運用は「TS-EC1679U-RP」で行うことも現実的だ。

この機能を支えるファームウェアのサポートも手厚く、現在でも古いTurboNASの更新が行われている。例えば数年前はRAID 0/1/5までしか使用できなかったが、ファームウェアを更新することでRAID 6/10がサポートされるため、常に最新技術を搭載したNASとして運用することが可能だ。このように安全性や信頼性、そして高いパフォーマンスを備えたTurboNASシリーズのなかでもトップに位置する「TS-EC1679U-RP」は、中小企業のNASやIP-SANに最適な製品である。ぜひ、中小企業以上のIT担当者は本製品を候補の一つに加えてほしい。

■QNAP Systems Inc.

QNAP Systems Inc.は、台湾台北市に本社を置くNAS分野のリーディングカンパニーです。バックアップセンター、ディザスタリカバリ、ファイル共有など、信頼性の高いストレージ機器へのニーズが高まっている昨今、高速・高機能を特長とするQNAP NAS製品は、特にSMB・SOHOユーザーの間で世界的に認知される存在になっています。 テックウインドは早くからQNAP NASの優位性に着目し、日本市場に紹介して来ました。

協力 : テックウインド株式会社