既報の通り、シュナイダーエレクトリックはこのほど、次世代型UPSの「Smart-UPS」シリーズを発表。エンタープライズ領域やオフィスだけでなく、家庭への導入と拡販も視野に入れる。Smart-UPSシリーズの優位点や家庭で使うメリットについて、同社のビジネスパワー・ソリューション部門バイスプレジデント、マイケル・マイロ氏に話を伺った。

発表会も開催

はじめに、去る5月17日に都内で開催された発表会の様子をお伝えしよう。冒頭ではシュナイダーエレクトリックの代表取締役社長、アルノ・モンディ氏がスピーチし、同社の概要などを紹介。シュナイダーエレクトリックは旧APCジャパンを母体とし、UPSに代表されるエネルギーマネジメントをビジネスの中心に据える。日本においては、2011年の東日本大震災、およびそれに連なる計画停電などによって、企業のUPSニーズが急速に高まっているという。今回の新モデル群は日本での使用を考慮し、カタカナ表記が可能な液晶パネルを多くのモデルに搭載。エンタープライズ領域からホームユースまで幅広いニーズに応えると述べた。

シュナイダーエレクトリックの代表取締役社長、アルノ・モンディ氏(写真左)。新しいSmart-UPSシリーズは液晶モニタを搭載し、さまざまなステータスを確認しやすくなった

シュナイダーエレクトリックのビジネスパワー・ソリューション部門バイスプレジデント、マイケル・マイロ氏は、Smart-UPSシリーズの歴史や次世代モデルの開発背景、Smart-UPSシリーズのエネルギーマネジメントなどを紹介。まず1990年代の初頭はハードウェア重視(コストが高かったため)、次の時代はデータ重視、そしてネットワークおよびビジネスの可用性(停電でもデータにアクセスできるなど)と移り変わり、現在はエネルギー管理(無駄なエネルギーを使わない)が重視されていると述べた。

シュナイダーエレクトリックのビジネスパワー・ソリューション部門バイスプレジデント、マイケル・マイロ氏。後ほど詳しいお話を伺った

電源保護の必要性と対象機器は、時代とともに移り変わってきた

次世代UPS(今回のSmart-UPSシリーズ)の開発に関しては、ユーザーの声を最大限に反映。同社の品質管理センターに寄せられる意見に加えて、ユーザーへのインタビューや聞き取り調査を数千回もの規模で行ったという。その結果、環境への配慮、バッテリ寿命と交換時期の明確化、正確な情報(ステータス)、リモート管理、信頼性と回復力といった潜在ニーズを明らかにし、Smart-UPSを開発したという。

多数のユーザーにヒアリング調査

エネルギーを身近な数字に置き換えてみる

多くのユーザーはエネルギー管理に高い関心を持っているといい、新しいSmart-UPSシリーズを導入することで、約9.7万MWhの電力、約57,000トンのCO2を削減する効果が見込めるとした。さらに詳細なポリシー設定や管理によって、約150万MWhの電力、約800,000トンのCO2を削減可能と自信を見せる(あくまで一例)。UPS自体については、「できれば使いたくないが、使わざるを得ない場面では確実に動作しないと困る」、「信頼性や回復性が高ければ、多少はコストが高くてもいい」といった現場の声は非常に分かりやすい。

また、シュナイダーエレクトリックのビジネスデベロップメント部 HBN ビジネスデベロップメントマネージャ、神谷誠氏からは、新しいSmart-UPSシリーズの特徴や機能の解説があった。

シュナイダーエレクトリックのビジネスデベロップメント部 HBN ビジネスデベロップメントマネージャ、神谷誠氏

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