コスト削減から中継ぎまで目的はさまざま

EOSL/EOLハードウェア保守サービスの利用目的はさまざまだ。一番シンプルな例は、保守切れになるハードウェアを新品にリプレースするのに膨大なコストがかかってしまうため、現在のままで使い続けたいというものだ。

例えば、棚卸サービス事業を展開するエイジス では、このEOSL/EOLハードウェア保守サービスを利用することで、新品にリプレースする場合の10分の1の価格で、安定稼働しているシステムを維持する環境を整えたという。

また、リプレースを行う意向はあるものの、さまざまな事情ですぐには手が付けられない場合に、このサービスを利用するというケースもある。例えば、 データセンターにハウジングしている自社保有のサーバがある場合、そのサポート契約が終了しているとデータセンター側で運用ができなくなるケースもある という。そのため、リプレースが完了するまでの期間を、データライブの保守サービスを使って乗り切るといった事例だ。

なお、データライブのEOSL/EOLハードウェア保守サービスは、主にSun Microsystems、HP、Dellのサーバ向け、CiscoやF5のネットワーク機器向けに提供されている。ただし、リユース製品を長く扱ってきた同社のノウハウを生かし、富士通、日立、NEC等の日本メーカーの製品についても、パーツが調達できれば対応が可能だという。

サービスの形態は、全国を対象に、ユーザー先で稼働しているシステムの場所に出向いて対応を行う「オンサイト保守」が中心となっており、平日対応のほか、24時間365日体制で対応を行うサービスも提供する。また、自社で部品交換等の作業ができるユーザー向けには修理部品を即日発送する「パーツ保守」も提供している。

「再生技術」「調達網」「フィールドエンジニアリング」が必須のEOSL/EOL保守

全国規模でこうしたサービスを提供できる要因としては、北海道から九州まで、パートナー企業を含めて200人以上の常勤メンテナンス要員を揃えていること、幅広いメーカーに対応した再生技術と高品質を維持するための検品・品質管理が徹底されていること、販売終了したIT機器・パーツを入手する国内50社、北米/欧州700社の調達ネットワークを保持していることなどが挙げられる。

調達力については、独自の仕入れネットワークが強みとなる。データライブは、ASCDI(Association of Service and Computer Dealers International)と呼ばれる中古サーバ等を取り扱う事業者の国際的な業界団体に加盟している。世界で500社ほどが加盟するこの団体は、信頼性や技術力が高い企業が加盟を許されるもので、必要に応じて他社とも調整を行いながら、機器や部品の調達を行える環境を揃えている。データライブでは、特に一部の企業と密な連携を行っており、米国や欧州各国において柔軟性の高い強固な調達網を構築している。

さらに、リユース機器を長く取り扱う中で培ってきた「再生技術力」と、それに伴う実績がユーザーには評価されているという。

「EOSL/EOLハードウェア保守サービスの導入を検討されているお客様にとっては、『壊れたら、本当に直してくれるのか?』という部分が、一番の疑問になります。その際、最も確実な証左として、これまでの導入実績を、製品、地域、サービスレベル、機器のメーカーごとにご紹介しています。また、当社で実際に行っている検査の現場を直接見ていただくこともできます。保守部品の品質を確保するための検査や、湿気対策、静電対策などは、一般のメーカーと遜色ない水準で実施しており、保守作業についても定義されたプロセスにのっとって確実な対応を行います」(山田氏)

世界規模での調達網、メーカー水準の検査による品質担保、広範なパートナー網に基づいたフィールディングとロジスティクスの能力がすべて揃って、はじめてサードパーティとして、ベンダーフリーでのオンサイト保守サービスは提供可能となるのだ。

データライブでは、組織体系もこれに合わせたかたちで組んでいる。調達を担う調達部、生産力向上に努める生産技術部、商品の維持管理を担当する商品管理部、保守対応を行うメンテナンス部の4部門で構成される。

「このような体制だからこそ、各パートの技術力を維持でき、顧客のさまざまな要望に応えられるんです」と語る山田氏。今後はそれぞれの専門スキルをさらに高め、より広範な要望に応えられる体制を整備していく予定だ。

リユース機器の販社からソリューションパートナーへと進化を遂げたデータライブ。独自の事業特性を武器に、ITの新たな市場を切り開いていく。