人事・給与・就業管理システムの導入事例

続いてのセッションは東京、大阪共にユーザーの事例講演となる。まずは東京での事例紹介についてご案内しよう。

POSITIVEを活用した人事制度の展開と人材情報の可視化

ネットワンシステムズの伊与部徹氏

東京の講演では、ネットワンシステムズの伊与部徹氏が登壇し、電通国際情報サービスの人事・給与・就業(勤怠)パッケージ「POSITIVE(ポジティブ)」に関して、鈴与シンワートからの導入の経緯とその効果、今後の展望が、自社の人事戦略と併せて紹介された。

まず、同社がシステム導入を検討するにあたっては、人事の基本戦略である「人事が介入しない現場での裁量をもった、人材マネジメントを実現する」という理念が基本になっている。

その中から、課題や要望について大枠を下記のように挙げた。

  • 乱立したサブシステムの統合、効率化
  • 紙運用の削減による効率化とヒューマンエラーの削減
  • 情報開示による部門マネジメント・セルフマネジメント強化
  • 複雑な就業形態の効率的な管理と運用の実現
  • セキュリティ強化
  • 経営マネジメント強化

その上で、システムの機能の評価と共に、切替を短納期で実現する必要があり、これを実現できるスキル、ノウハウのあるベンダーであることが求められたと言う。

その中でPOSITIVEは

  • 人事給与就業が統合されたパッケージシステム
  • 柔軟なセキュリティ設定機能
  • 豊富なワークフロー機能群
  • 複雑な勤務体系への対応と就業業務全体をカバーする高い機能性
  • データ分析、抽出機能の充実
  • EXCEL入出力によるデータ活用の自由度

など、他の製品に比べて高い優位性があったという。

構築ベンダーという面においても、鈴与シンワートのスキル、ノウハウについて提案プロセスの中での要件理解の早さとレスポンスの良さ、記述されていない業務への気づきがあり、他ベンダーと比較して圧倒的な差を感じたという。

実際のプロジェクト構築を12月スタート、4月には稼動。問題なく稼動しており、その成果に満足しているとの評価を語った。

現在は、POSITIVEへ人事の基本情報と共に、「評価、自己申告、賃金、研修歴、保有資格」等の管理も集約しPOSITIVEに集約している人事情報を部門マネジャー層に対してタイムリーに開示している。同時に、ワークフローを活用し、申請・処理を行うことで業務効率と共に精度の高いデータ収集を実現することができているという。

また、アクセス権限管理、承認フロー管理、開示資料設定など情報公開とセキュリティの確保を両立することにも成功。「これにより企画型業務への転換と業務効率化を大幅に実現することができた」と伊与部氏は説明する。

そして、同社では人事給与業務アウトソーシング「S-PAYCIAL(エスペイシャル)」を今まさに導入中である。上記で紹介したような、ノウハウとコストを投入して構築したシステムをそのままに運用体制をアウトソーシングしていくことで最適化された資産ともいえるシステムを捨てることなく、更なる発展を行っていけることとなる。これにより、組織のスリム化、ローコストオペレーション、属人化リスクの回避を目指している。

伊予部氏は、今後のテーマとして、「POSITIVE内へ蓄積されている情報から『人事考課、自己申告、IT技術に関する様々な資格管理』などを対象にワークフローの活用範囲拡大と業務プロセスの最適化をさらに進めていく」ことを挙げる。併せて「『仕事への満足度、キャリア志向』など蓄積された情報の公開範囲を広げ、よりセルフマネジメント効果を進めていく」(伊予部氏)とした。

氏の講演は、攻めの人事というべき意欲的な、戦略と具体的な取り組みは同社のカルチャーをまさに体現するものであった。

オフコンからSTAFFBRAINへリプレイスを実現した理由と効果

続いて、大阪の事例講演についても紹介しよう。

当セッションでは、村本建設の石田裕二氏が登壇し、電通国際情報サービスの人事・給与・就業(勤怠)パッケージ「STAFFBRAIN(スタッフブレイン)」に関して他製品との比較を交えて、鈴与シンワート提案の採用理由と、その具体的導入の効果について紹介を行った。

当セッションの構成は少しユニークで、冒頭に鈴与シンワートの担当営業である小田明子氏が登壇し、その後石田氏によるセッションへと続く形をとった。これは導入時の鈴与シンワート視点での課題理解や提案方針、課題解決に向けたアプローチを実際のデモを交えて紹介を行った上で、石田氏がユーザー側の立場からその効果や評価を語るという、2つの視点でひとつテーマを掘り下げたいという実験的な試みであった。

同社のシステム更改の目的は「全社システム更改プロジェクトの一環として人事・給与システムをこれからの時代にマッチした仕組みへ転換する」(小田氏)というものであったという。その上で、具体的な要望と課題として次の3点を挙げた。

  • 人事・給与担当者の生産性向上と業務改革の実現
  • オフコン、自社システム運用からの脱却
  • 周辺システムとのシームレスな連携と柔軟なデータ活用

これを受けて小田氏は、STAFFBRAINによる提案の骨子とポイントを次のように設定したことを解説し、実際の機能適用をデモンストレーションを交え、個別の提案要件を具体的に紹介した。

  • 業務モジュールに加え、各種ワークフロー機能による業務網羅性
  • 業務部門の利便性向上に寄与する高い機能性
  • WEBシステムとしての運用利便性と充実したサポート体制
  • レガシーのシステムとのシームレスな連携と柔軟なデータ抽出

こうした、鈴与シンワートからの提案アプローチを踏まえて、石田氏から講演へスイッチすることで、ユーザー視点での評価、当時の状況を振り返える形をとった。

石田氏は、選定のポイントを「自社によるオフコン運用との利便性比較」と「従来運用からプラスアルファのメリットの評価」であったことを語った。当時、選考対象であったパッケージはSTAFFBRAINを含め4つ。その他の比較製品はワークスアプリケーション社「COMPANY」、オービック社「OBIC7」、CASIO社「ADPS」だったという。これらを比較した上で、「STAFFBRAINを最も効果のあるソリューションと評価した」と語った。

そして最後に石田氏が今後の展望について、「ワークフローを中心としたSTAFFBRAIN機能の適用範囲を拡大し、既存システムのNotesで対応している業務や機能を積極的にSTAFFBRAINへ巻き取っていきたい」と説明。そして鈴与シンワートについて「アウトソーシングも含めて様々なサービスをラインナップし、それを高いノウハウと充実した体制を有するパートナーとして今後も期待している」(石田氏)との評価を示した。

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