コンテストには、当初30チーム程の参加を予想していたところ、それを上回る57チームの応募があったという。1チームは平均3人で構成される。
1月にコンテストの告知を開始し、2月の第一次資料提出したチームが、マイクロソフトの社員によるメンタリングを受け、21日に最終プラン提出(24チーム)というプロセスを経て、プレゼンテーション予選チーム8チームが選ばれた。
コンテスト当日は、8チームのプレゼンテーションをマイクロソフト社員が審査し、4チームに絞り込まれた後、PCメーカなどWDLC(Windows Digital Lifestyle Consortium)関係者らが審査員として加わり、最終審査が行われた。
評価ポイントとなるのは、「実現可能性」「収益性」「継続性」「プレゼンテーションスキル」「質疑応答への受け答え」の5項目である。
審査では、「4月時点での販売促進の短期的なゴールを目指すものに留まらず、長期的に見たWindowsブランドの価値向上を目指したもの」、「実際に販売促進効果のあるもの」、「社内企画として通すことを想定してプランすること」といった内容が求められた。果たして社会経験のない学生たちに現実的なプランがどこまでできるのだろうか。
「将来の夢の実現にWindows7 PCが活躍する」といったコンセプトで、大学生に人気の各種職業に就いた先輩を使ったプロモーションと、Windows PCを購入する際の学生向け有料eラーニングサイトのオプション販売を提案したチームは、「大学生にとっては、先輩がどういうプロセスでその職に就いたかに興味がある。芸能人を使うよりも効果的であると考える」と説明した。
別のチームは、一人暮らしをする新入学生と関わる「不動産業者」に、新規販売チャンネルとして目を付け、賃貸料と抱き合わせたPC販売を提案した。学生にとっては家電店等を訪れる手間がないといった利便性をアピールしながら、新規ユーザの囲い込みが可能というわけだ。クラウドの利用に着目し、ソーシャルメディアからSkyDriveといった既存サービスを、セキュリティの心配なしに一元的に利用できる学生専用の「Windows World」といったサービスを提案したチームもあった。
結果、Team MSHが企画した「Your Best Windows」が最優秀賞に選ばれた。実家から通っている学生たちは、PCの購入率が低いことに着目し、大学生にとってPCを持つ重要性を保護者に対して説き、その結果として、新大学生のPC購入率を5%引き上げる戦略を考えた。
提案された「Your Best Windows」は、PCや学部といった共通点から先輩とリンクし、必要な履修科目などの情報を得られるサイトとなっている。審査の中で、特に大切にしたのは「共感性」だったという。消費者からの共感がどれだけ得られるか、競合他社との差別化、PCの競合優位性が明確に入っていた点でTeam MSHは評価された。
Team MSHに限らず全体として、「収益性の部分については若干弱く、社会に出ていないこともあり考慮した部分もある」とも評された。
それにしても、どのチームともにプレゼンテーション力が高く、コンセプト設定、裏付けるデータ提示、ストーリー立てた企画のアピール、10分枠の中での時間配分といったプレゼンノウハウを押さえており、また、大変度胸の座ったものだった。
日本マイクロソフト テベロッパー&プラットフォーム統括本部長 執行役 大場章弘氏は、総評として「多様な視点で、いろいろなアプローチが出てきたことは素晴らしいと思った。感心したのは、膨大 なデータを短時間に収集・分析し、それをストーリーに組み込むといった点はどのチームも強かった。また、ソーシャルやクラウドといったサービス、既存チャネル以外の流通プロセスなど、パソコンビジネスだけをやっていると発想が出てこないアイディアが盛り込まれていたのも大変良かった」と語った。
「Windows Ambassador」は、あくまでマーケティングフォーカスのミッションとなり、同社が行っている他の学生支援とは全く異なる立ち位置のものだが、「Windows ブランドの確立を目的に、弊社と学生が一体となって活動をすることで、学生には社会経験とともにリアルなマーケティングの勉強ができるようなプログラムにしています」と同社担当者は説明する。
今後の活動予定だが、早稲田大学 国際教養学部 3年、社翼さんにリーダーが引き継がれ、4月に第二期としての活動が始まる。
「まず、活動が弱い関西、東北、北海道といった地域でメンバーを募り、まずはしっかりと組織を固めて行くことを目的に活動していきます。具体的なプランとしては、入学シーズンに向けてのマーケティング活動を、そして、パートナー企業との連携もやっていきたいと考えている。企業に属さない学生が自分たちの視点を含めながらやる、それを崩さないように、Windowsに愛着を持ち、信頼を持ってもらえるためのマーケティングを行なっていきたい」と社さんは語る。
なお、今回のコンテストの告知は、Facebook、mixiのコミュニティサイト、Twitterで行われたのだが、「『こんなのあるよ』とFacebookを通じて大学の友達の間で話題になっていたので面白そうだと思った」といった今回の参加者たちの声を拾った。こうしたソーシャルメディアの利用も学生という立場で、その"温度感"がわかるからこそうまくいくのだろう。
今後どのような活動が展開されるのかへの期待と共に、大学生へのWindows の理解認知がどう浸透していくのかが、興味あるところだ。
最後にWindows Ambassadorのメンバーたち自らが制作したプロモーションビデオを紹介したい。なかなかよく出来ているので、ぜひご覧頂きたい。