ARMを搭載した新UniPhier
パナソニックのブースでは、同社のスマートテレビ用UniPhierシステムLSI「MN2WS0220シリーズ」を活用した3D表現のデモなどが行われている。
UniPhierそのものは同社が提供するデジタル家電向けプラットフォームで、同製品は2011年6月に発表された次世代品。従来の自社プロセッサ「AM34」から、ARM Cortex-A9 デュアルコア(1.4GHz駆動)へとCPUが変更されている。これは、従来CPUだと、ネットワークを活用した使い方のニーズに対応することが処理性能的に不足していた結果のCPUの変更であり、基本的なアーキテクチャは改変せずに、バスやメモリ周辺の取り回しを改良することで高い性能を引き出すことに成功したものとなっている。また、カスタマの設計しやすさなどを考慮した結果、同社の先端プロセスである32nmプロセスではなく、前世代品と同様45nmプロセスを採用しているとのことである。
また、マイコン向けの試みとして多くの人が興味を示していたのが、ReRAM搭載マイコン。これは0.9V電圧動作で、1バイトあたりの読み出し電流を従来のフラッシュメモリ比で1/10以下にすることを目指して開発が進められているもので、ReRAMのターゲット容量は32~128KB程度だという。
ReRAMにはパルス電圧印加のみで抵抗変化する独自の材料(TaOx)を用いており、データ領域の書き換え回数は10万回程度、書き換え時間は0.1s@32KBとなっている。
1T1R型のメモリのため、シュリンクしやすいという特長があり、当初は同社のフラッシュマイコンプロセスが0.18μmであるため、ReRAMマイコンも0.18μmでの製造が予定されているが、同様に0.11μmプロセスでのフラッシュマイコンも行われており、将来的にはそちらのプロセスへの対応なども図っていく予定としており、0.18μm品は2012年度中の量産開始を予定しているという。
このほか、パワー半導体向けとして0.11μmを用いたトレンチMOSFETの展示なども行っている。同社の技術を活かすことで、従来の0.25μプロセス比で、Ronが43%減となる8mΩ・mm2、Qgが同47%減の9mC/mm2、Ron×Qgが同70%減の70mΩ・nCをそれぞれ実現している。
こちらの製品はすでに提供を開始しており、スマートフォンなどに搭載済みだという。なお、同社ではプロセスを微細化したMOSFETのほか、GaNのパワー半導体での実用に向けた研究開発も進めているという。
うーちゃん×はちゅねでアナログ開発
ルネサス エレクトロニクスのブースでは、同日に発表された回路変更可能なアナログ機能を搭載した「Smart Analog MCU」を活用したデモを行っていた。
Smart Analogはマイコンとアナログ半導体を組み合わせたシステムソリューションを簡単に実現することを目指して開発されたもので、アナログ半導体の技術者不足の解決を目指したLSIと開発ツールを提供しようというもの。
今回のデモでは、センサ設計に必要とされるアナログ回路を1チップに搭載し、ほとんどのセンサ回路を構成することが可能な「RL78/G1E」を用いて、「はちゅねミク」にネギを振らせたりすることが簡単に組めることを紹介しており、このデモ付近で配布されているアンケートに答えると、はちゅねミクと、同社のWebサイトにて同社マイコンの解説などを行っていマンガのキャラクター「うーちゃん」などが書かれたクリアファイルや紙相撲、時計といったノベルティをもらうことができる。
実は同社、依然も展示会にてはちゅねミクを用いたイベント的な試みを行っていたが、今回再び、はちゅねミクがデモで堂々とブースの一番前に飾られていて、非常にノリが良い、というか、お堅いイメージが付きまといやすい半導体業界においては異端な感じを受けるが、個人的な意見としては、お堅いイメージが取り払われ、ユーザー層の拡大などが期待できるかもしれない、と思うと、そういった意味では非常に意欲的な取り組みだと感じるので、ぜひ、どういった意図なのかを担当者に聞きたかったが、捕まらなかったので、いつか機会があれば聞いてみたいところである。
なぜ、はちゅねミクが?ということで同社Webサイトを覗いて見たら、謎は解けた気がするが、「あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!(以下略」という気分に…。話の内容が気になる人は同社Webサイトで全部読めるので、読んでみると良いだろう |
また、このほかRL78シリーズとして、低消費電力・高機能マイコンとして開発が進められている「RL78/G14」の紹介も行われていた。こちらは、RL78ファミリの高機能版と位置づけられるもので、1チップでモータ制御とシステム制御を行うことができるというものとなっている。製品ラインアップとしては、16KB-256KBのフラッシュROMと30-100ピンのパッケージが用意される予定。
このほか、同社の次世代マイコンRXシリーズの下位製品として開発されている「RX200シリーズ」の紹介も行われていた。32ビットRXコアを搭載し、1.62Vで20MHz駆動、1MHzあたり1.56DMIPSの演算性能を実現しているほか、動作時電流は0.2mA/Hzで、待機時電流はディープソフトウェアスタンバイモードで1.3μAを実現しているという。