実際の契約システムは、紙の申込書に似た画面と、お客さま自身に契約内容を確認してもらうためのビジュアルが充実した画面が用意されている。契約の確認画面では、項目ごとに現在の契約内容が大きく表示されており、要確認事項を別ウィンドウで詳しく見せる工夫も行われている。スレートPCの場合、画面へのタッチにより詳細な説明画面を簡単に拡大して見せられるなど、代理店とお客さまが同じ画面を見ながら契約作業を進めるのに便利だという。
「システムでは、ステップごとにタブが切り替わり、重要な確認を見落とさずに進めることができます。契約条件に誤りがあればそれを指摘する画面が表示されるため、修正が簡単なのもポイントです。約款もWebで見ていただく形式を選択することができます。紙の申込書では、Web約款を選択するお客さまは3割以下ですが、電子契約手続きした場合、半分以上のお客さまがWeb約款を選択されています」と近田氏。
訪問先お客さまの情報もあらかじめダウンロードしておき、契約手続きを行う。そして、契約処理を済ませた後、データをアップロードすると保険証券が速やかに発送される仕組みだ。
「セキュリティ対応にも力を入れております。システム起動時にパスワードを入力するほか、お客さま情報のダウンロード時には電子証明書とIDが必要で、ローカル保存時には自動的に暗号化されます。ノートPC導入時からセキュリティ対応を行ってきていますので、スレートPC導入にあたってもスムーズに対応することが出来ました。」と近田氏。
全代理店に均質なサービスを提供するためのオフライン処理
今後の展開として、オンラインでのデータ処理や各種スマートタブレットへの対応が考えられる。
「オンラインでの処理を行うためには、回線を維持しなければなりません。現段階では回線料金の問題もありますし、何より電波状況を気にせずに利用できるのがオフラインの魅力です。」と、近田氏はオンライン処理の課題を語る。
また、Android端末やiPadの採用については、PCで利用しているものと同じ環境を移植することの難しさが指摘された。
「Windows PCは既に利用実績がありましたし、マイクロソフトさんからの技術協力も得られたのでスムーズに検証ができました。しかし、AndroidやiOSに関してユーザーとまったく同じ環境を作るのは難しいですし、頻繁なアップデートへの対応や各種端末での動作検証を行うのは、現段階では現実的ではないと考えます」と近田氏。
オンライン対応や各種スマートタブレットの採用にあたって問題となるのは、保険という重要な契約を処理するにあたっての信頼性の担保や、PCを含めてどの端末を利用している代理店に対しても均質なサービスを提供しなければならないことだ。オンライン処理が可能な環境が整い、システムをブラウザから利用するスタイルにできた場合、スマートタブレットやスマートフォンの活用も視野に入ってきそうだ。
「今回、スレートPCに対応したことで、 最安端末であれば5万円程度から購入できるようになりましたし、バッテリーが長時間持つというメリットも得られました。これによって、お客さまの利便性も高く、速やかにお客さまに保険証券をお届けできる電子計上システムを、多くの代理店が採用してくれればと考えています」と近田氏は語った。