バイク用エアバッグ

バイク用に「着る」エアバッグは既にいくつか実用化されているものがある。国内だと無限電光のhit-airが有名(筆者も実は愛用している)だし、海外だとDainese Technology Centerが開発したD-airとかAlpinestarなどのメーカーが、いずれもレース用ながらツナギにエアバッグを仕込むシステムを開発している。ただ(DaineseやAlpinestarのレース用はともかく)民間用の場合、普通はバイクとエアバッグをワイヤーで繋ぎ、事故などでライダーの体が投げ出されるとエアバッグシステム内のCO2ボンベがワイヤーで引っ張られ、これがトリガーになってエアバッグが展開されるという仕組みで、効果はともかく「ワイヤーを外し忘れてバイクを降りようとして引っ張られる」「ワイヤーを繋ぎ忘れてバイクで走り出してしまう」という事がしばしばあった。

で、Technology Labに展示されたのがこちらの製品(Photo11)。これを手がけているのは仏Beringである。原理は簡単で、前輪と後輪のそばに加速度センサを装備し、ここからの情報を元にバイクが転倒/衝突したと判断すると、即座にZigBeeを使ってジャケットに信号を送る(Photo12)。ジャケット(Photo13)はこの信号を受けて、即座にエアバッグを展開する(Photo14,15)という仕組みだ。

Photo11:フランス語のページではあるが同社Webサイトの(http://www.bering.fr/airbag/)ムービーが判りやすい

Photo11:フランス語のページではあるが同社Webサイトのムービーが判りやすい。

Photo12:前輪側センサはジャケットに隠れてしまっているが、後輪側はシート下部に加速度センサを設置。ほかに車体内にコントローラを設置する。この3つがペアで構成される形

Photo13:ジャケットの重さは、筆者の使っている[Hit-air MC type]( http://www.hit-air.com/lineup/mc/index.html )と殆ど変わらなかった。ちなみにZigbeeのレシーバを搭載するわけで駆動用の電池が必要となるが、電池の寿命は概ね2年ほどとの話だった

Photo13:ジャケットの重さは、筆者の使っているHit-air MC typeと殆ど変わらなかった。ちなみにZigbeeのレシーバを搭載するわけで駆動用の電池が必要となるが、電池の寿命は概ね2年ほどとの話だった

Photo14:エアバッグ展開時の状況。下にはみ出している黄色い部分も、本来ならエアで膨らんでいるはず

Photo15:こちらは背面。ぎりぎり尾てい骨までカバーされる形となる

このエアバッグのどの辺にFreescaleが関係しているかといえば、前後輪そばの加速度センサはFreescaleのXtrinsicシリーズが使われているし、転倒/衝突の判断やZigBee経由での信号送受信にもFreescaleのMCUが使われているという話だ。ただ個人的にはそうした話は抜きに、このエアバッグシステムを使いたいところだ。もっとも今のところはフランス国内での販売のみ。当然ながら加速度センサの設置位置が微妙なため、個人売りの予定もなし。価格は590ユーロだそうである。