変換したVHDを使ってHyper-Vに仮想マシンを追加する
こうして作成したVHDファイルをHyper-Vに追加するには、既存の仮想ハードディスクを使って仮想マシンを追加する操作を行う。そのため、Disk2VHDで作成したVHDファイルを、Hyper-Vが動作するコンピュータにコピーする作業が必要になる。
追加が完了したら仮想マシンを起動するわけだが、変換前の物理PCとHyper-Vの仮想マシンではハードウェア構成が異なるので、初回起動時にはデバイスドライバの組み込みが必要になる。動作しているOSによっては、Hyper-V統合サービスのインストールも行う必要があるだろう。
ともあれ、その作業が完了すれば、元の物理PCで動作していた環境やデータをそのまま引き継ぐ形で仮想化環境に収容できるわけだ。
ちなみに、VHDのファイル形式そのものは同じだから、Virtual PCやVirtual Serverで使っていた仮想マシンのVHDをHyper-Vに持ってきて動作させることもできる(ただし、ゲストOSがHyper-Vで動作可能なものでなければならないが)。このときにも、初回起動時にデバイスドライバの組み込みが必要になるのは同じだ。
仮想化環境に移行する際の注意点
VHD化に際してはコンピュータ名やTCP/IP設定もそのまま引き継ぐことになるが、物理PCと仮想化環境のハード構成の違いが原因で、LANアダプタの機種が変わる。そのため、TCP/IPを含むネットワーク関連の設定については移行完了後に確認して、変化が生じていたら再設定が必要になると考えられる。たとえば、固定IPアドレスを割り当てているケースがそれだ。
Windowsの仕様では、異なる複数のLANアダプタに同じ固定IPアドレスを割り当てようとすると警告を発するようになっている。無視して強行することもできるが、あまり気分がいいものではないので、固定IPアドレスを割り当てた物理PCをVHD化する際には、いったんDHCPで自動構成する設定に戻しておく方が確実だろう。
また、筆者の手元で移行を行った際には、使用したPCがデュアルコアCPUを使用しているためのデュアルプロセッサ構成になっていたが、Hyper-Vに移行した直後にはシングルプロセッサ構成になってしまった。しかしこれは、Hyper-Vの仮想マシン設定画面で論理プロセッサの割り当て数を変更することで対応できる。
あとは、前回に取り上げたDynamic Memoryの設定を行い、搭載しているRAMを有効活用する工夫も忘れないようにしよう。
以上、今回は、物理HDDをVHDに変換し、仮想マシンで利用する方法を試した。ご覧のようにデータも手軽に移せるので、もはや仮想化環境への移行を恐れる必要はないと言えるだろう。前回のDynamic Memoryと併せて参考にしていただけると幸いだ。