――CS5.5では、アドビでは初めてサブスクリプションモデルでの使用も可能になっています。その導入理由を教えて下さい。

サブスクリプションモデル
ソフトウェアのレンタルで、年間または月単位で必要な期間だけCS製品を使用できる権利を購入する方法のこと

ティーゲル「サブスクリプションモデルを提供した理由は、ソフトウェアをよりお手頃な価格で入手してもらえることにあります。サブスクリプションモデルの場合、初期投資で全額払わなくても、月単位や年単位でソフトを利用することが可能になります。また、現在、旧バージョンのCSシリーズを使っており、アップグレード期間が終了してしまったユーザーにとっても最新の我々のテクノロジーをお手頃な価格で使ってもらういい機会になると考えています」

――次のバージョンアップで「CS」シリーズは「CS6」となるわけですが、リリース時期はこれまでと変更ないのでしょうか。

ティーゲル「CS5.5はあくまでも中間リリースです。12カ月前にCS5をリリースしたことを考えると、また約1年後にCS6をリリースする予定です」

――CSシリーズは金額的にも高額なツール群であるため、機能の大幅なアップがない限り1年単位でのバージョンアップはユーザーにとってかなり負担になると考えられます。今回、あえてユーザーがCS5.5にバージョンアップするメリットを改めて説明して下さい。

ティーゲル「今回のバージョンアップにより、電子出版に取り組みたいユーザーやデバイス向けコンテンツのオーサリングをしたいユーザー、アプリケーションを開発したいユーザーはCS5.5にアップグレードしていただけると考えています。また、CS3やCS4のユーザーでCS5へアップグレードしなかった方にとっても、CS5で提供された機能がさらに強化されているCS5.5へのアップグレードは十分に魅力的なものだと確信しています」

――アドビ システムズでは現在、東日本大地震の復興支援の一環として、傷ついて汚れてしまった被災者の写真を、Photoshopで修繕するというプロジェクトに協賛しています。これらの取り組みについて聞かせて下さい。

ティーゲル「我々は、いくつか震災の復興プロジェクトを行っており、それは今後も継続していく予定です。Photoshopを使った写真の復元プロジェクトにも参加していますし、今回の震災で、ソフトのライセンスを無くしたユーザーを対象に、無償にてライセンスの再発行も行っています。これらの取り組みを中心に、我々ができる最大限のサポートを日本の方々に継続して行っていきたいと考えております」

インタビュー:国領雄二郎
撮影:石井健