5月24日(米国時間)、Fedora ProjectよりFedora 15が公開された。FedoraはRed Hat社からコミュニティベースへ開発が移ったLinuxディストリビューション。Fedoraには最新の技術や機能が取り込まれるため、Linuxのフロンティア的な存在となっている。今回のリリースではどのような技術や機能が導入されたのか。4月19日にリリースされたβ版を使って変更点を紹介したい。なお、ここでは、Fedoraの標準配布であるGNOME版を使用する。

GNOME 3を採用したFedora

Fedoraを含め、Debian、OpenSUSE、Ubuntuなど著名なLinuxディストリビューションはこれまで標準のデスクトップ環境としてGNOMEを採用してきた。ウィンドウマネージャだけでなく、統一されたUIのデスクトップアプリケーションも含めているGNOMEはユーザに支持され続けてきた。

ところが最近変化が生じた。現在一番の知名度、ユーザ数を誇るLinuxディストリビューション、UbuntuがGNOMEの目玉機能ともいえるGNOME Shellを見送ったのだ。Ubuntuはこれまでつねに最新のGNOMEを使い続けてきたわけだが、それを次期リリースでは取り込まないことを発表し、ユーザに大きな衝撃を与えた。

同じく、名のあるLinuxディストリビューションであるFedoraは引き続き、GNOMEを採用する選択肢をとった。GNOME 3はGNOMEプロジェクトの9年ぶりのメジャーバージョンアップということもあり、システムに大幅に手が加えれた。特に新たなUIの開発に注力した結果、これまでとはかなり異なるルック&フィールを提供している。

GNOME 3では新たにウィンドウマネージャとしてMutterを、新UIとしてGNOME Shellを開発し、視覚効果を実現している。Fedoraではオープンソースのグラフィックドライバで視覚効果をえられるよう対応が進められており、例えば、Geforce 7300GTと古いVGAでLive CDを試してみたが、NVIDIAドライバとしてNouveauが使われ、GalliumによりGNOME Shellがスムーズに動作した。

GNOME 3の操作はアクティブオーバービューで行う。アクティブオーバービューの操作に関してはこちらのWebサイトが参考になる。ユーザーメニューでAltキーを押すことで電源オフの表示やアクティブオーバービュー上のアプリケーションでスクロールによるズームなど新しいUI用の操作がある。

GNOME Shellの設定はgnome-tweak-toolパッケージを入れることでテーマやフォントを変更できる。"システムの設定"の"システム情報"にある"グラフィック"の設定で強制フォールバックモードを有効にし、 再ログインすることでGNOME Shellではなく、旧来のGNOMEのUIが使える。