Linux業界のオピニオンリーダーともいえるUbuntuは、Linuxの現在のトレンドを垣間見ることができるLinuxディストリビューション。去年の11月にでた10.11ではクラウドへのさらなる対応、新たな写真管理ツールとしてShotwellの採用、実験的ながらBtrfsのサポートなどが行われた。
今回公開されるUbuntu 11.04(開発コード名: Natty Narwhal)はちょうどLTS版の中間に位置するリリース。Natty Narwhalを開発コードに持つ今回のUbuntuはどのような進化をとげているのか、Beta版Desktop Editionをもとにレビューしてみたい。
新たなUI "Unity"
Ubuntuはこれまでデスクトップ環境としてつねにホットなGNOMEを採用してきた。しかし、今回のUbuntuでは最新のGNOMEの採用を行っていない。GNOME系のアプリケーションを残してはいるが、Natty Narwhalの開発が始まってすぐにUbuntu開発チームはGNOME3の目玉機能の一つであるMutter及びGNOME shellを見送ることを決定した。
代わりに採用したのがUnityだ。UnityはCanonicalで開発されたUIで、ウィンドウマネージャCompizのプラグインの一つ。Natty NarwhalではMutterとGNOME shellではなく、CompizとUnityの組み合わせによるデスクトップ環境を提供している。
Unityを体験するにはCompizが動作する環境が必要となる。UbuntuのWikiに推奨ハードウェアが掲載されているので参考にしてほしい。LiveCDでUnityを体験したい場合、搭載しているVGAによって決まる。動作しない場合はインストールし、プロプライエタリドライバを入れる必要がある。
外観やウィンドウはこれまでのUbuntuが採用してきたGNOMEと似ているが、操作はデスクトップ画面の左側に表示されるランチャーメニューで行う。Beta版では収録されているGNOME系のソフトはすべてGNOME2のバージョンとなっており、Compizが動作しない場合はMetacityが動作する。
ランチャーメニューには主要なアプリケーションやホームフォルダ、ワークスペーススイッチャー、アプリケーションメニュー、ごみ箱などのアイコンが表示される。各アイコンをクリックすることでアプリケーションの実行ができる。
アプリケーションメニューを開くとよく使用するアプリケーション、インストールされているアプリケーション、ダウンロードできるアプリケーションのアイコン順に表示される。アイコンをドラック&ドロップすることでランチャーに追加することができる。ランチャー内でアイコンをドラック&ドロップすることで移動させたり、ごみ箱に捨てることでアイコンを消すことができる。
アイコン上で右クリックすることでクイックリストを表示させることができる。まだクイックリストで利用できるメニューは少ないが、クイックリストのメニューを変更するハックがUbuntuの情報を取り扱っているニュースサイトOMG!UBUNTU!で紹介されている。
Unityの無効はログイン画面で行える。ログイン画面でユーザを選択した時に画面下でセッションを選択できるが、そこに新たに"Ubuntu Classic"や"ubuntu Classic(No effects)"などが追加された。Ubuntu Classicを選択してログインすることで視覚効果は効いている既存のUIで、Ubuntu Classic(No effects)を選択することで視覚効果がない既存のUIで動作させることができる。