米MicrosoftがMIX11において、「Mango」というコードネームで呼ばれている次期Widows Phoneの概要を説明した。モバイル版のInternet Explorer 9 (IE9)を搭載し、効率的に動作するマルチタスク機能を備える。また開発ツールのアップデートやMarketplaceの拡大など、開発者サポートも大幅に強化される。
モバイル版のIE9の特徴は、HTML5標準のサポート強化とハードウエアアクセラレーション対応だ。キーノートではBoston Globe紙が運営するBoston.comをMangoのIE9で開き、ページに埋め込まれたH.264ビデオをタップして、直接フルスクリーンモードでスムースに再生して見せた。以下は、Test DriveのHTML5 Speed Readingを、iPhone 4、Windows Phone Mango、Nexus S (Android 2.3)で実行した結果だ。iPhone 4(左)のフレームレートが"2"、Nexus S(右)が"11"であるのに対して、ハードウエアアクセラレーションが効いているMango(中央)は"23-26"である。
またOS自体もスクロールやイメージデコード、ガベージコレクション、メモリー使用などのチューンナップが行われており、コードに手を加えることなく既存のアプリがより滑らかに動作する。例えばMango(上)では、以下のようにゲームなどがグラフィックスやバッファに多くのメモリーを割り当てられ、バッファリングに影響されることなくレスポンスよく動作する。
マルチタスク機能は、バッテリーを浪費することなく、きびきびとしたアプリケーションの切り替えが可能になる。アプリを切り替えると、それまで利用していたアプリはレジュームされるが、他のアプリがメモリーを必要としない限り、アプリはメモリーに維持される。プッシュ通知、バックグランドエージェント(例:オーディオ再生)、バックグラウンド転送サービスなど、バックグラウンドでの継続的な動作が求められる機能は、Live Agentsと呼ばれる仕組みで効率的にユーザーへ提供される。
今日のWindows Phoneの最大の問題は、小さなシェアである。OSの出来が良くても、ユーザーが少なければ、開発者は参入を躊躇する。有用なアプリが増えなければ、エコシステムが広がらず、プラットフォームは衰退してしまう。負のスパイラルに落ち込みそうな流れを、いかに断ち切るか。Microsoftはアプリ開発者の手厚いサポートを選んだのだろう。今回Mangoの概要説明にMIXのキーノートの中で最も長い80分が費やしたことからも、その姿勢が伝わってくる。