Microsoft(MS)の日本法人である日本マイクロソフトは3月3日、次世代Windows Embedded CEである「Windows Embedded Compact 7」の提供を開始したことを発表。これに併せて、同OSの概要などの説明を行うセミナーを開催した。
日本マイクロソフト OEM統括本部 エンベデッド本部 シニアマーケティングマネージャの松岡正人氏 |
同セミナーでは基調講演として日本マイクロソフト OEM統括本部 エンベデッド本部 シニアマーケティングマネージャの松岡正人氏が「エマージングマーケット向けの製品開発を支援する Windows Embedded Compact 7」と題してこれまでのCEの歴史を振り返りつつ、Windows Embedded Compact 7で何が変わったかの説明を行った。
元々、Windows CEは現在のルネサス エレクトロニクスの母体となった日立製作所およびNECと共同で組込機器向けOSを作ろうという流れで生み出され、1996年11月にバージョン1.0(開発コード名:Pegasus)として提供が開始された。その後、組込分野の要求を取り入れ、改良を繰り返しながら15年間提供されてきており、2009年9月に登場した前世代のWindows Embedded CE 6.0R3より約1年半(CE 6.0からは約4年)でWindows 7をベースとした同Compact 7が登場したこととなる。
松岡氏は、「CEは携帯機器などのバッテリ駆動の分野で多く用いられているほか、一般的なWindowsでは持っていないリアルタイム性という特長もあることから、制御機器などの分野でも用いられており、日本ではハンドヘルドPCのイメージがまだ強いもの、ドイツの海外などでは産業機械の制御にCEを使っているパートナーなども居る」と、CEが様々な分野で用いられていることをアピール。
また、「今や、様々な機器の先にも色々なものがつながるようになってきており、我々としては、そのつないで何かをするということが重要だと考えている。サービスやインフラのようなものとつなぎ、その上で端末として、さまざまなアプリケーションを動かすことが重要で、ミドルウェアなども含め、皆が使いたいと思うようなコンポーネントを標準として提供していきたいとの考えの下、Compact 7では相当数の数のコンポーネントを用意した」と語り、OSのカーネルだけでなく、周辺の部分も統合して提供していくことこそがMicrosoftとしての差別化の要素となるとした。
CEは、これまでバージョン5までWindows CE、同6ではWindows Embedded CEとなり、今回Windows Embedded Compact 7へと名称が変わってきている。今回の名称変更について松岡氏は「7はCEの革新バージョン」と表現する。これは、今までも提供してきた各OSもその時点でのベストソリューションとして提供してきたが、今回はネットワークの発達に伴って従来以上に増大したさまざまなニーズをすべて内包し、ミドルウェアなどのコンポーネントを拡張したものであり、これまでの延長線上ではなく、大きくジャンプアップしたOSであるという意味が込められているという。