東京都は2月17日と18日の2日間に渡って、中小規模事業者を対象とした「平成22年度地球温暖化対策セミナー」を開催した。2010年度から東京都で実施されている、中規模事業所を対象とした「地球温暖化対策報告書制度」の提出状況の報告を兼ねたセミナーだ。当日は提出状況および分析結果の発表、次年度へ向けての変更点のアナウンス等とともに、事例として各日3社の温暖化対策への取り組み事例が発表された。

東京都では、2010年4月から中小規模事業者を対象とした「地球温暖化対策報告書制度」を開始している。この制度は、都内の中小規模事業者が、前年度のエネルギー使用量や地球温暖化対策の実施状況を都に報告し、都が内容を公表するもの。同一事業者が都内に設置する複数の事業所等について、原油換算エネルギー使用量を合算して、年間3,000キロリットル以上になる場合は、報告書の提出義務がある。

都内の約3万事業所の状況が報告

報告書の提出状況では、義務づけられた事業者だけでなく、任意提出もかなりの件数にのぼったことが発表された。2月10日現在の提出状況は、提出義務のある事業者数の272に対し、任意で提出した事業者数は、その4倍以上の1,211にのぼった。事業所数では、31,176となる。これらの事業者から報告されたCO2排出量は約500万トンで、総量削減義務と排出量取引制度の対象となる大規模事業所の排出量約1,200万トンと合わせると、都内の産業・業務部門における温室効果ガス排出量の約6割が報告されたことになるという。

平成22年度地球温暖化対策報告書提出状況

業界別提出状況および排出量の割合

特に提出件数が多かったのは、卸売業・小売業、不動産業・物品賃貸業、宿泊業・飲食サービス業等だが、業種別にCO2排出量を見た場合、卸売業・小売業が20%、不動産業・物品賃貸業が31%で、2業種で全体の半分を占めている。特に排出量の多い業界が熱心に取り組んだようだ。

取り組みの内容としては、テナントビルにおいては何の対策も実施していない事業所が30%あった一方で、コンビニエンスストアでは温暖化対策実施ゼロの事業所がなく、基礎レベルが高い様子がうかがえる。データセンター等を含む情報通信業においては、全く取り組んでいない事業者は少ないものの、取り組み項目が10個以下の事業所が80%を占め、さらなる推進が求められる状況であることがわかった。

事務所およびテナントビルの取り組み状況

情報通信業の取り組み状況