芸人、構成作家、料理人、俳優など、様々な分野でクリエイターとして才能を発揮する木村祐一。2008年には映画『ニセ札』を監督し、映画監督 木村祐一としても才能を発揮した彼の最新作『ワラライフ!!』が公開中だ。様々なジャンルでクリエイターとして活動を続ける木村祐一に話を訊いた。

映画『ワラライフ!!』では、リアルな人間たちを描く

木村祐一
1963年、京都府出身。1986年、お笑い芸人としてデビュー。以後、多方面で活躍。『ダウンタウンのごっつええ感じ』(CX)では、構成作家としてもデビュー。俳優としても『下妻物語』、『誰も知らない』、『ALWAYS 三丁目の夕日』、『少年メリケンサック』など多数の映画に出演。2008年、実際の事件を題材にした『ニセ札』で長編映画監督デビュー。2011年1月29日公開の『ワラライフ!!』では、監督と共同脚本を担当。

――長編2作目の監督作品『ワラライフ!!』が完成しました。

木村祐一(以下、木村)「『ニセ札』の時は、"これは自分の子供かなあ"という感じだったのですが、今回の作品は子供というか、自分の分身のような気がしています。シーンやカットに関しても全て自分の好みが出ていますしね」

――『ニセ札』は実話をベースとしていましたが、今回の作品は、木村さんの実体験がエピソードに活かされているという感じなのでしょうか。

木村「ほぼ実体験ですね。商売柄、幼少の頃のエピソードなどもネタとしてノートに書いてあるんです。『すべらない話』に出せるようなネタではないのですが、この映画のように出す場があるというのは嬉しいですね」

――非常に、淡々としているというか、良い意味で普通のエピソードが沢山描かれていて驚きました。

木村「この映画では、リアルなエピソードをそのまま描きたかったんです。観る方々には、描いてない部分を想像したり、ご自身の体験に置き換えて欲しいんです。僕自身、『こんなのあり得ないよ』という笑い話は好きじゃないんです。それは、普段の笑いの方でも出来ることなんで。家族や友達を描こうと思ったときに、現実に即して過不足ないようにしたかったんです」

――あくまでも幸せを描いていて、心底不幸なエピソードはないですね。

木村「不幸な経験もあるとは思うのですが、不幸を残さないというか、思わないんですよね。芸人ならではというか、泣けることも笑いに変えて記憶しているタイプなんです。僕は海馬がわがままというか、都合いいので、記憶も都合よくも捻じ曲げてる」

――この作品は小さなエピソードの積み重ねで成立しています。いわゆる「映画的なクライマックス」を、あえて設けていないという印象を受けました。

木村「確かに盛り上がりというのはないのですが、主人公から見るフィールドも、父、母、姉、恋人、友達と代わっていくので、楽しんでいただけると思います。『飽きさせない』と深く考えすぎると余計なものを付け過ぎてしまうので、それはしないように心がけました」

『ワラライフ!!』

東京でひとり暮らしをしている修一(村上純[しずる])は、実家の引越しを手伝いつつ、恋人のまり(香椎由宇)との結婚に向け部屋を探していた。ある不動産屋で修一は、疎遠になっていた幼馴染みの小倉弘之(高岡蒼甫)と再会し、自分を取り巻く様々な少年時代のエピソードを思い出していくのだった
(C)2010「ワラライフ!!」製作委員会

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