『リアル鬼ごっこ2』柴田一成監督の考える「映画監督に必要な資質」とは

ただ撮りたいだけでは、監督できない

――柴田監督は現在もジェネオン・ユニバーサルに所属されながら、監督やプロデューサーとして活動されています。そのような立場だと、『制作費の回収』という部分を、よりシビアに意識してお仕事されていると思うのですが。そこの部分で不自由を感じることはないですか。

柴田「それは仕方ない部分ですね。ただ、制作費回収という局面を理解した上で映画を作る監督がもっと居てもいいと思います。業界の仕組みはわからなくていいんです。ただ、ビジネスで回収するという覚悟や意識はもっと必要だと思います」

――そういった部分も、今後は監督としての資質に、より多く含まれてくるということでしょうか?

柴田「そうですね。それがない人は、多少の才能があってもどんどん映画を撮れなくなってくると思います。一部の天才監督は別として……。今の映画制作は『この監督なら安心できる』というのも、予算を集めるための大きな要因のひとつなんです。安心というのは、監督の才能もそうだし、予算やスケジュールを超過させないという部分も含まれています。あとは、映画への出資者がどこに対してどういう作品を作ろうとしていて、どう稼ごうとしてるのかを理解し、そこに向けて作るということが大切ですね。もちろん、それがヒットするかどうかは別の問題ですが、そこに向けてやるということが必要だと思います。ただ、自分の撮りたい映画を好きなように撮る映画監督というのは、成立しなくなってきていると思います。最近は、『トライアルでこの作品をこの監督に任せてみたい』みたいなケースは減っていますし」

――そのような厳しい状況で、柴田監督はどのような作品を作っていきたいのでしょうか?

柴田「ホラーやアクションだけが好きというわけではないのですが、普通のドラマよりはエンターテインメントがやりたいです。これまでやってきたものを踏襲した作品をやっていきたいとは思っています」

――今後のご予定などを訊かせてください。

柴田「『呪怨 黒い少女』の安里麻里監督による『携帯彼女』のプロデュースをしています。あと少年ジャンプの往年の人気漫画『ブラック・エンジェルズ』の実写化も手掛けています」

――あの雪藤洋二が実写になるんですね! あの殺しや台詞がどう映像化されるか楽しみです。

撮影:糠野伸