触って感じるタッチパッド
東芝グループのブースでは、「触覚UI」と銘打ったもののデモを前面に押し出している。
これは、フィンランドSensegが提供する「Senseg E-Sense」技術を用いたもので、帯電フィルムとコントロールモジュール、ターゲットデバイス向けソフトウェアで構成されている。
帯電フィルムの帯電量を変化させることで、電気的に抵抗を発生させ、指定した状態においてすべりを悪くすることを可能とする、というこれだけだと、何のことかが分かりづらいが、こればかりは実際に触ってもらわないと説明が難しいという曲者。
実際のデモでは、例えば黒と白の丸が碁盤目状に配置され、その白で抵抗があり、黒はない、といったものや、ざらざらとしたイメージを触れると、実際に荒れた表面を触れたようにざらざらと感じることができるようなもののほか、Webのリンク部分で一瞬抵抗があり、テキスト部分ではない、といったものも紹介されている。文章や画像だけではフィルムを一枚、タッチパネルの上に張るだけで触覚を実現できるということが表現できないので、非常に紹介しづらいのではあるが、興味のある人はぜひ、同社ブースに行って、じかに触れて確認していただければと思う。
また、同社ブースでは、画像・音響での特徴抽出処理エンジン「FocusNavi」のデモも行っている。これは、ハードウェアIPで提供される同エンジンを、雑音除去や画像認識などに用いることで、プロセッサなどに負担をかけずにそうした処理を実現できるというもの。
デモでは動体検出ならびに4つの音声を重ねた状態のものを分離して、それぞれの音として聞かせるといったことが行われている。
第4世代UniPhierによる3D表示を組み込み向けに提供
パナソニックのブースでは、同社の3Dテレビなどでも用いられている第4世代UniPhierで得た技術を活用した3D表示やその上にさまざまなエフェクトを被せるといったデモを行っている。
UniPhierそのものはすでに同社のBDレコーダやデジタルテレビなどでも活用されているものを流用。今回は組込機器向けに、3Dデコーダ/エンコーダを2チャネル搭載し、IP-TV向けのソリューションとしての3D表現や、デジタルサイネージとしての3D+エフェクトの活用などの紹介が行われている。
FRAMにもCortexの搭載を計画
富士通グループのブースでは、富士通セミコンダクター(FSL)が先日発表した、ARMアーキテクチャの32ビットRISCコア「Cortex-M3」を内蔵した汎用マイコンの新シリーズ「FM3ファミリ」のデモを前面に押し出している。
これはグリーンファクトリシステムを意識したデモで、農場の温度、湿度、照度をセンサで監視、それらのコントロールをFM3で行い、常に最適な条件になるようにファンを回したり、水をまいたりするほか、サーバ側とのやり取りもFM3に行わせようというもの。この技術自体は農場だけでなく、産業機器に適用して工場のFA用途などでも活用できることから、そうしたネットワークにつながるクライアント機器向けデバイスとして提供していく予定としている。
また、このほかに同社ブースでは、FRAMに関する展示も多く行われており、FRAM単体の紹介のほか、FRAMマイコンシリーズのロードマップも紹介されている。同ロードマップでは、次世代として、レジスタとしてFRAMを活用することで、待機時電流を0にすることを目指したものや、Cortex-M3を搭載したものが提示されている。ただし、現状、FRAMのプロセスが180nmであり、Cortex-M3の性能を引き出すためにはさらなるプロセスの微細化が必用だ。これについては、ある程度のめどはあるものの、プロセス技術的な部分のほか、FRAMを300mmウェハで対応する製造装置をどうするか、といったことも含め、まだまだ課題も残されており、しばらく時間がかかると予測しているとのことであった。