対話系と自動系の両ツールを統合

仮屋氏はTriforce(トライフォース)の要点をまとめて2枚目のスライドで、設計システムとしての特徴に言及した。「対話系ツールと自動系ツールの統合」、「最新のデザインレビュー環境」、「CR-5000シリーズの動作環境に追加」、「システム構想設計との連携」といった特徴を備えていると説明した。

Triforce(トライフォース)の特徴一覧(設計システムとして)。自動系ツールと対話系ツールの統合、最新のデザインレビュー環境、CR-5000シリーズの動作環境に追加、システム構想設計との連携、といった特徴を備える

基板CADを基板データのフォーマットで大別すると、自動系と対話系がある。自動系ツールは配線パターンのデータを線長と線幅、パッドの中心点と半径に抽象化しているので、演算処理時間が短い。配線作業の自動化に適している。ただし曲線表現に時間がかかる、精度が低いのでプリント基板製造での検証作業が必要といった弱点がある。対話系ツールは配線パターンのデータを輪郭で持つ。データ量が多いので演算処理時間はかかるものの、形状認識や形状検索などが得意であり、また精度が高い。

自動系ツールと対話系ツールの基板データの違い。上が自動系ツールの配線データ。線分の長さ、線の幅、パッドの中心点と円の半径といった基本情報に抽象化することで、自動配線を高速に実行する。下が対話系ツールの配線データ。パッドの円弧を含む外形の輪郭情報を持つ。形状認識や検索などを高速に実行する

図研では従来、自動系ツールを「CR-5000 Lightning」、対話系ツールを「CR-5000 Board Designer」の名称で提供してきた。Triforce(トライフォース)ではこれらのツールを統合し、マルチCPUのハードウェアを活用することで大規模処理および並行処理での演算速度の低下を防いだ。

自動系ツール(CR-5000 Lightning)と対話系ツール(CR-5000 Board Designer)の統合

最新のデザインレビュー環境

これまで構築してきた設計環境との関係はどのようになるのか。Triforce(トライフォース)は、CR-5000の設計環境にそのまま追加して利用できる。Triforce(トライフォース)からCR-5000 Board Designerを呼び出す、あるいはその逆も可能である。

CR-5000の設計環境にTriforce(トライフォース)を追加できる

CR-5000のデータをTriforce(トライフォース)から直接、やり取り可能。データの変換は一切不要である

またシステム構想設計との連携では、システム構想設計の途中で基板の詳細設計を並行して始められる。具体的には、図研のシステム構想設計ツール「System Planner」から、Triforce(トライフォース)へと移行して詳細設計に取り掛かれる。しかも構想設計データと詳細設計データは連携しており、一方の修正がもう一方へと反映される。

システム構想設計との連携

どこからでも基板設計を始められる

さらに3枚目のスライドでは設計インフラとの連携の視点から、「あらゆる設計プロセスに対応」、「最新のネットワーク環境に対応」、「オープン性の実現」といった特徴を備えることがアピールされた。ネットリストが無くても基板設計を開始できる、部品リストだけからでも基板設計を始められる、基板製造技術を未定義でも設計作業を開始できる、といったこれまでの基板CADとはまったく異なる機能が盛り込まれる。

Triforce(トライフォース)の特徴一覧(設計インフラとの連携)。あらゆる設計プロセスに対応、最新のネットワーク環境に対応、オープン性の実現といった特徴を備える

あらゆる設計プロセスに対応。ネットリストがなくても設計作業を開始できる。また、部品リストだけからも設計作業を始められる

最新のネットワーク環境に対応

オープン性の実現

そして最後に、製品化のスケジュールが明らかにされた。2011年4月に評価版を限定ユーザーに供給し、評価を受ける。製品版は2011年10月に出荷を始める計画である。日本語と英語の両方に対応したバージョンを始めから出荷する。