続いてFilner氏は、Adobe AIRに今後追加することが検討されている機能として次のようなものを紹介した。ただし、あくまでも検討中の段階ということで、実際にどのバージョンで導入されるかなどは一切未定とのこと。
- フロントカメラ(サブカメラ)
- 新しいセンサー
- 新しいプラットフォームの機能
- ネイティブ拡張
- WebKitによるHTML5対応のアップデート
- Webviewのインテグレーション
現在のAIRではひとつの端末につきひとつのカメラしか利用することができない。端末によっては2つ目のカメラを備えていることもあるため、それをサポートしたいということである。新しいセンサーや新しいプラットフォーム機能としては、人物感知センサーなどが例として挙げられた。デバイスが新しいセンサーや機能を持つようになった場合には積極的に対応していくとのことだ。
その他、パフォーマンス面でもチャレンジが続けられている。とくに力を注いでいるのはグラフィック機能であり、Kevin Lynch氏の基調講演ではGPUのハードウェアアクセラレーションを活用した3Dレンダリングのデモが紹介されている。
それと同時に、「Stage video」という機能の開発も進められているという。通常、動画再生は2つのステップで行われる。1ステップ目はデコードで、2ステップ目は画像の変換や色やサイズの調整、そして描画処理となる。このうち1ステップ目についてはハードウェアで処理することも可能だが、2ステップ目についてはFlashの内部でソフトウェア的に処理する必要があった。Stage videoはこの全行程をハードウェアで処理できるようにするという機能である。この機能が実装されれば、動画再生中のCPU使用率を大幅に下げることができる。
その他、スレッド機能や仮想マシン、メモリ使用量の最適化など、パフォーマンス向上のためのさまざまな努力が続けられているという。
Adobeでは、Flash PlayerとAdobe AIRの2つのランタイムを核とした上で、開発ツールやデザインツール、フレームワーク、サーバ製品や分析ツール、Webサービスなど、あらゆる方向からFlashプラットフォームの導入をサポートしている。そしてそのいずれにおいてもマルチスクリーン対応が進められているということも特筆すべき動向である。Adobe MAX開催中にも、Flash Builder 4.5のプレビュー版や、LiveCycle ES 2.5など数々のリリースが行われ、それぞれモバイル対応の強化が発表されている。今後もフルスタックでFlashプラットフォームのマルチスクリーン化に取り組んでいくとのことである。