Luxteraの25Gbpsを超える光伝送
Luxtera社は、既に、シリコンフォトニクスを使った光伝送を製品化しているメーカーである。Blazer Optical Active Cableという製品で、ケーブルのコネクタ部分に光の送受信回路が入っており、InfiniBandや10Gb EthernetなどのQSFPコネクタに差し込むと、10Gbps ×4チャネルの光伝送が行えるようになっている。 今回のHot Chipsで発表されたLuxteraのシステムは、光源は独立チップのDFBレーザーを使い、チップ上のスプリッタで必要なチャネル数に分割することで光源のコストを低減している。MQW DFBレーザーは数社から発売されており、かつ、高い信頼性が実証されているという。
そして、光の変調には、Intelと同じpn接合を使うMach-Zehnder型の変調器を使っている。この変調器の理論限界としては160GHzまでの変調が可能だという。また、高速の変調を行うため、長い伝送路の光の進み方に合わせて変調信号も進ませる分布定数型の変調器となっている。 次の図に示す長さ2mmのMach-Zehender干渉計を使った実験システムは、まだ、高速化のための最適化を行っていないが、 25Gbpsの信号でも十分にEyeが開いており、25Gbps以上のスピードで4チャネルのシステムの実現は十分可能であるという。 また、光検出器はIntelと同じWaveguide型のSiGeフォトダイオードを使っているが、この構造で理論的には55GHzの帯域があるという。そして、実験システムでは25Gbpsの伝送状態ではきれいにEyeが開いた状態が得られている。
Luxteraの特徴的な技術が送信側に使われているSPGC(Single Polarization Grating Coupler)で、扇形のグレーティングのカナメ部分にチップ上の細い導波路を接続し、扇の開いた部分に垂直に光ファイバを突き当てる構造で高い効率で光を伝えられるという。
また、受信側はPSGC(Polarization Splitting Grating Coupler)という太いファイバからの信号を細い導波路に効率よく結合する構造を採用している。これらの構造は精密な光軸あわせが必要ないため、製造が容易であるという。
今回の発表は実験システムのPreliminaryな結果であるが、1波長でIntelの2倍の25Gbpsの伝送を達成しており、この25Gbpsの伝送チャネルを4本束ねて100Gbpsとして、EDR InfiniBandや100G Ethernetなどの商品に展開することが可能となると考えられる。