Verb DCがHP PODを選んだ理由

Verb DCのDirectorであるChris Clifford氏

コンテナ型サーバはHP以外からも複数提供されているが、Verb DCがHP PODを選択した理由は何か。これについて、Verb DCのDirectorであるChris Clifford氏は、やはりPODの品質もさることながら、運用管理などのトレーニングの充実や、Triforceによるサポートや管理ノウハウなどが要因となったと説明する。

特にNetwork Operations Center(NOC)は重要で、差別化の要因となるとしており、光ファイバでユーザーとDCが接続され、従来以上に高速にデータのやり取りが行われるようになってきている現在、HPと組むことで、投資コストを抑えながら効率的な運用が可能となるという。

また、立ち上げまでの時間も重視したという。実際に、PODの発注から導入までにかかった期間は14週とのことで、「時間をかけずに立ち上げることができた」(同)とするほか、「PODは電源とネットワークをつなげば使用でき、かつ電力効率が高いため、従来比で年間あたり数千ドルのコスト削減が1デバイスあたりで可能となる」(同)と、コスト面でのメリットも受けられることが強調された。

Verb DCとしてHPとTriforceを選んだ主な理由

Triforce Services AustraliaのSenior Solutions ArchitectであるGeorge Kazangi氏

加えて、Triforce Services AustraliaのSenior Solutions ArchitectであるGeorge Kazangi氏が運用面について、「DCというものはとかく複雑になりがちなもの。これをいかに簡単なものにするかが重要であり、PODが選ばれたのは、それができることが評価されたため」と補足したほか、「多くの企業がコンピューティングパワーをDCに移管し始めているが、PODは運用まで含めて、そういった戦略に柔軟に対応できる。PODを上手く活用することで、短い期間で高いコンピューティング性能を獲得でき、素早くマーケットにアクセスすることができるため、カスタマが推進するビジネスをより成長させることが可能になる」(Kazangi氏)とDCを活用するユーザー側も恩恵が受けられることを強調した。

PODの実際のVerb DCへの納入にはトラックで運搬が行われ、クレーンで持ち上げられて設置された。今回、Verb DCに導入されたPODの設計になどにも関与したHPのScott McNamara氏によると、40フィートタイプのコンテナは米国の運送事情などに合わせたもので、20フィートタイプはそれ以外の国のカスタマからの要望に沿って作られたものとのこと。

Verb DCへの実際の導入の様子。トラックとクレーンで運搬している様子が見て取れる

いずれもコンテナ内で冷却をしており、「多くの新技術も導入してはいるが、コンセプトとして重要なのはサーバを冷やすことで、ルームを冷やす必要はないということだ」(McNamara氏)ということで、従来のビルや室内全体を冷却する方式と比べると比較的、容易に冷却が可能となっているとのことであった。

PODを搬入するためのシャッター。壁とシャッターの間には隙間があり、一般的なデータセンターという雰囲気はパッと見では受けることはない

HP PODの全景。入り口は手前側と、右奥の2つ

HP POD内部。左の写真の手前の入り口から奥を撮影したもの。左側にサーバなどが設置される。ラックはプラスチックならびにアクリルパネルで覆われていた

こちらもHP PODの内部。奥の入り口から入り、手前の入り口側に向かって撮影したもの

また、屋外に設置することも可能とのことだが、「企業で活用する場合、その多くが物理的なセキュリティの問題で屋内に収納している」(同)とのことで、大学などの研究用途では屋外に出されたままなことも多いという。

HP PODの天井を開けるとこのようなファンが搭載されているのが分かる

背面を開けたところ。天井からぶら下がっている白と赤のケーブルは電源で、2系統の冗長性が持たされている

HP PODの背面を別確度から。ちなみに別室にバックアップ電源が用意されており、非常時には10~20分程度はそちらの電力で稼働することが可能だという

HP PODをバックに記念撮影に応じるClifford氏(左)とKazangi氏(右)

HPでは40フィートタイプのPODを第1世代、20フィートタイプをその進化版と位置付けており、現在40フィートタイプの第2世代版の開発を行っているという。なお、日本では消防法などの法規制の問題があり、PODの運用が現状はできないとのことであったが、「PODのスペースをとらないという利点を考えると狭い国で活用する方が有効だと考えている。もし、日本でも活用できれば、DCのあり方を変えられるだろうし、プレミアムも出せると考えている」(Bovis氏)とのことで、今回の豪州での導入をきっかけに、アジア太平洋地域全域でPODの販売を強化していければとの期待を覗かせていた。